コミュニティーバスといえば市街地を巡回するバスが多く、短距離を走るバスが多いですが、今回紹介するのは、超長距離を走っていたコミュニティーバスに関するお話です。
そのバスの名前は飛騨市巡回バス「ふれあい号」というものです。平成27年に廃止されてしまったのですが、130kmも走るということで注目を集めていました。そして1乗車100円で乗ることが出来たバスでもあります。バス好きにはたまらないですね。では、なぜこんなに長い距離を走ることになったのでしょうか。
このバスが走っていたところが岐阜県飛騨市です。この飛騨市は2004年にあった平成の大合併により、古川町・神岡町・河合村・宮川村が合併して誕生した市になります。飛騨市の面積が792.53平方kmで、東京23区の約1.3倍の大きさになります。このような広域行政だったため、市民の足として飛騨市巡回バス「ふれあい号」が生まれました。所要時間は1周約4時間20分という日本最長のコミュニティーバスでした。
「ふれあい号」は濃飛バス神岡営業所を起終点にしており、東回り便と西回り便で走り、それぞれJR高山本線の猪谷駅近くを通過し、古川町を経由するコースとなっています。ほとんどの人は1周130kmを乗り通すということはなかったことでしょう。もう少し詳しくルートを書くと、濃飛バス神岡営業所-割石温泉-猪谷-飛騨まんが王国-宮川振興事務所-角川駅-香愛ローズガーデン-すぱーふる桃源郷温泉-古川駅-山田湖-流葉温泉-旧奥飛騨温泉口駅-濃飛バス神岡営業所となっています。
なぜこのバスが誕生したのでしょうか。先ほども述べましたが、飛騨市は古川町・神岡町・河合村・宮川村が合併して誕生した市です。神岡村を除く3市はJR高山本線によって行き来できましたが、神岡町は高山本線から外れた位置にありました。そのため飛騨市は、統合した町村が互いに交流するための公共交通の必要性を感じ、巡回バスを走らすことにしたのです。「ふれあい号」を運行していたのは飛騨市の依頼を受けた濃飛乗合自動車(濃飛バス)でした。
130kmを100円で乗れるとなると、ものすごくコスパが良いですね。ちなみに東京駅から直線距離で130kmというと東海道本線なら由比駅と興津駅の間くらいで、中央本線なら小淵沢駅の少し西側で、北陸新幹線なら佐久平駅手前くらいで、上越新幹線なら上毛高原駅辺りになります。そう考えると飛騨市はすごいバスを走らせていたんですね。今は廃止されてしまいましたが、一度は乗り通してみたいバスでした。