大リーグファンなら「おや?」と思ったかもしれません。それは球場の名前です。イチローがシアトル・マリナーズで試合をしていた際の球場名が「セーフコ・フィールド」という名前でした。聞き覚えのある方も多いでしょう。しかし現在の球場名は「T-モバイル・パーク」というものになっています。マリナーズは新しい球場に移ったんだなと考えてしまいますが、イチローがいた時から球場は変わっていません。変わったのは球場名です。
現在、日本でもスポーツ施設や文化施設に会社の名前が付いているものが多くなっています。命名権(ネーミングライツ)が売り買いされているのです。先ほどのマリナーズの本拠地も保険会社のセーフコが20年間のネーミングライツを得ていましたが、2019年からは携帯電話会社のT-Mobile USが25年のネーミングライツを取得したので、球場名が変わったのです。
このような大きな施設の命名権を会社に売ることで、施設側も会社側も益が得られます。施設側のメリットは、入場料や広告看板以外に安定した収入を得ることができます。芝の管理や清掃、スタジアムの改修費用など修繕やメンテナンスにかかる費用も莫大です。その際に一部でも安定した収入があるのは施設側にとってとても助かります。
会社側にとってみれば、試合のある日はテレビやネットで放映されスタジアム名などを言ってもらえます。多くの人が耳にするので宣伝効果もかなりのものです。
ネーミングライツの売り買いは70年代のアメリカから始まりました。90年頃からビジネスとして定着していきました。その後、日本においても行われるようになり、2003年に「東京スタジアム」のネーミングライツを食品メーカーの味の素が買い取ったことで「味の素スタジアム」へと名前が変更になりました。
複数年契約したからといって、満期まで出来るとは限りません。西武は、07年から5年間、総額25億円(推定)で人材派遣大手の旧グッドウィル・グループと、ネーミングライツ契約を結びましたが、グッドウィルの違法な派遣業務が問題となり1年だけで解約してしまったことがあります。
このように数年で名前が変わってしまうと混乱のもとになります。例えば神戸運動公園野球場はオリックスが本拠地にしています。しかし名前はコロコロと変わりました。
①グリーンスタジアム神戸
②Yahoo! BBスタジアム
③神戸球場
④スカイマークスタジアム
⑤ほっともっとフィールド神戸
このように数年単位で球場名が変更になっているのです。これだけ変わると利用者は混乱しますね。
ちなみに現在は7球団の本拠地の名前がネーミングライツ契約を結んでいます。皆さんはどの名前の球場が良いと思いますか。
・福岡ソフトバンクホークス(福岡PayPayドーム)
・千葉ロッテマリーンズ(ZOZOマリンスタジアム)
・西武ライオンズ(ベルーナドーム)
・東北楽天ゴールデンイーグルス(楽天生命パーク宮城)
・オリックスバッファローズ(京セラドーム大阪・ほっともっとフィールド神戸)
・中日ドラゴンズ(バンテリンドーム名古屋)
・広島東洋カープ(MAZDA Zoom-Zoomスタジアム広島)