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“噂がうわさを呼ぶ” この言葉が当てはまったビックリ事件とは?

SNSが発達した今、多くの情報が駆け巡っています。そのためスマホで検索すればなんでも答えを知ることができます。しかし情報の中にはデマ、偽情報などもたくさん散見されます。それゆえ「SNSがあるからデマ情報が出るんだ」と言われる方もいます。しかしSNS、いや携帯電話すら無かった時にもめちゃくちゃな事件がありました。小さなうわさが大事件にまで発展したのです。今回はその事件をお伝えします。

 

その事件とは、「豊川信用金庫事件」と言われるものです。1973年の出来事で、今から50年近く前の事件になります。簡単に言えば、ささいな噂が、取り付け騒ぎ(預金者がお金を降ろすために金融機関に殺到すること)にまで発展しました。どんな経緯だったのでしょうか。

 

列車の中で3人の女子高生がしゃべっていました。豊川信用金庫に就職が決まったAに対して、BとCが「信用金庫は危ないよ」とからかいます。(これは経営状態のことではなく、強盗が入るため危ないという意味)

 

Aはこの言葉が引っかかり、親族Dに電話で「信用金庫は危ないの?」と聞く。親族Dは豊川信金本店の近くに住む親戚Eに「豊川信金は危ないのか?」と電話で尋ねる。

 

このEが、美容院経営者であるFに「豊川信金ってなんか危ないらしいよ」と言う。美容院経営者のFは親戚Gにこの噂を話し、ちょうどその場に居合わせたクリーニング業者のHの耳にも入る。Hは妻のIにこの噂を伝える。2日後、主婦の間で豊川信金の噂が広がっていく。

 

クリーニング業者Hの店で電話を借りたJが「豊川信金から120万円おろせ」と電話の相手に指示(Jはこの噂を知らず、仕事の支払いのために指示しただけ)。でもこの言葉を聞いたHの妻Iはs豊川信金が倒産するものと勘違いし、すぐ信金から180万円をおろす。

 

クリーニング業者のHと妻のIが知人に噂を話し、この噂を聞いたアマチュア無線愛好家が無線でこの噂を広げる。

 

噂はエスカレートしていき、「職員の使い込みが原因」、「5億円を職員が持ち逃げした」「信金の理事長が責任をとって自殺した」というデマ情報まで飛び交う。そのため、信金に預金者が殺到することになる。事態を収拾させるために警察官が信金に行くが、警察官を見た人々は「強制捜査をしているんだ」と勘違いする。

 

信金側はメディアを用いて、デマであることを伝えさせます。また、日本銀行も「豊川信金は問題ない」と発言します。豊川信金も大量の現金があることを人々に見せ安心させるなど対策を講じました。そのため一連の騒動は次第に鎮静化に向かっていきました。

 

まさしく噂が伝言ゲームのように伝わっていき、一つの噂が大パニックを引き起こした珍しい事例です。ここまで発展するのはもはや奇跡に近いですね。私達も噂に流されないように気を付けたいと思います。

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