貴殿のふとした疑問に答えるブログ

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初めて日本で海の上を走った鉄道とは? 経緯は?

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写真はWikipediaから引用『横浜海岸鉄道蒸気車之図』

 

今でこそ海の上を橋や埋め立てなどによって走っている鉄道はたくさんあります。しかしそれを初めて行った鉄道とはどこの区間でしょうか。今回はその点を考えます。

 

答えから言いますと、新橋から横浜間を走った日本初の鉄道が海上鉄道でした。そうなった経緯を見てみましょう。

 

まず日本に鉄道が走り始めたのは明治5年10月14日で、イギリスの協力を得ながら開業することとなりました。少し前までは江戸時代ですね。日本も欧米に近づけと言わんばかりに各分野で欧米の技術を取り入れて、鉄道も新橋から横浜まで作ることになりました。それまで人の移動と言えば馬や籠が主流でしたので、いきなりレールの上に蒸気機関車が走ることとなれば当時の多くの人はたいそう驚いたことでしょう。

 

当時の人たちはペリーの黒船(蒸気船)ですら驚いていたのに、目の前で鉄の塊が煙をモクモク出しながら走る姿に恐怖を感じていたようです。例えば、煙突からの火の粉で火事になる、蒸気機関車の振動で農作物が育たない、牛の乳が出なくなる、鶏が卵を生まなくなる、などのデマが広がり、沿線の住民は鉄道の建設に猛反対しました。そのため土地の買収や立ち退きにも応じませんでした。

 

また当時の軍部も鉄道よりも軍事を優先すべきと反対の立場をとっていました。また、当初考えていたルート上に薩摩藩邸などがあったため、政府は芝から品川付近などでは、築堤を海上に築き、その上に線路を敷くことにしたのです。全線29kmのうち、1/3にあたる約10kmがこの海上線路になりました。現在の東海道線の新橋から品川の間はほとんど海上だったということです。

 

今まで鉄道を見たことが無かった多くの日本人なので建設は外国人が行なったように感じますが、建設に際していえば、土木工事は築城経験のある日本の技術が生かされました。六郷川橋梁だけは鉄道における土木技術を持ったイギリス人の指導の下に木造で架橋されています。築城経験が鉄道敷設に役立っていたのですね。驚きです。

 

鉄道を走らせるために紆余曲折がありながらも、正式開業日の10月14日には新橋駅で式典が催され、明治天皇と建設関係者を乗せたお召し列車が横浜まで往復運転しています。そして翌10月15日には一般客を乗せての営業運行が始まりました。開業時の列車本数は一日9往復、全線所要時間は53分、表定速度は32.8km/hとのことです。日本の近代化の第一歩ですね。ちなみに10月14日は「鉄道の日」となっています。

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