皆さんは、ヨーロッパの気候と聞くと、どのようなイメージを持ちますか。ヨーロッパと言っても広いので一言で表すことは出来ませんが、フランスのパリ、イタリアのローマ、イギリスのロンドンなどのイメージです。極寒というよりかは温暖な気候を想像するかもしれません。地中海沿いのスペインやフランス南部は海で日光浴をしているイメージを持つのではないでしょうか。
さて、多くの人が勘違いしているのが“緯度”です。では緯度とは何でしょうか。それは赤道を0度として、南北へそれぞれ90度まで表わしたものです。赤道から北は北緯、赤道から南は南緯になります。北は北極が北緯90度、南は南極が南緯90度となります。赤道から離れれば離れるほど寒くなります。
皆さんは日本の緯度がどのあたりかご存知でしょうか。北海道の最北端は北緯46度あたり、最南端は南鳥島の北緯20度あたりです。その差26度もあります。この数字は、かなり南北に長い国土があることを指しています。では、東京はどのくらいかというと北緯36度になります。この数字（北緯46度、北緯36度、北緯20度）を覚えておいてください。
この日本の緯度をヨーロッパまで動かすと、どこら辺の国に該当するのでしょうか。日本の最北端である北緯46度ではフランス中部、イタリア北部、ウクライナのクリミア半島を通っています。大きな都市だとイタリアのミラノあたりです。稚内とかは冬は極寒になりますが、ミラノで極寒になるイメージはありません。
東京の北緯36度だとどこらへんでしょうか。実は北緯36度になるとほとんどヨーロッパにかかりません。地中海あたりを通ります。マルタ島、ギリシャのロードス島などです。島だと分かりにくいですが、アフリカだとアルジェリアやチュニジアになり、中東だとシリア、イラク、イランなどが北緯36度になります。なんだか暑そうな国のラインナップですね。
日本の最南端の北緯20度はどこでしょうか。もうヨーロッパの国はなくアフリカまで下がっています。マリ、アルジェリア、ニジェール、チャド、スーダンを通ります。これらの国を述べてもピンと来ないかもしれませんが、例えばスーダンはエジプトの南にある国ですので、かなり暑いです。ちなみにハワイも北緯20度です。
このように、ヨーロッパは多くの人が想像している以上に緯度が高いのです。なのに比較的温暖なのは、大西洋に北大西洋海流（暖流）が流れていること、そして西からの偏西風が1年中吹いていて北大西洋海流の暖かな風を運んできてくれるからです。でなければ寒くて住んでいられないですね。ちなみにイギリスのロンドンは北緯51度で、ロシアの樺太になります。
