日本には多くの街路樹が植えられています。街路樹を植える理由としては都市の美観や歩行者に日陰を提供することなどです。数ある街路樹の中でも一番多く植えられているのがイチョウです。皆さんもイチョウの街路樹を見たことはあるでしょう。春夏の緑色の葉っぱも涼しげですが、秋の紅葉している葉っぱはとても見ごたえがあります。しかし日本の街路樹にイチョウが採用されたのでしょうか。
実は、イチョウというのは興味深い特性があります。他の樹木に比べて葉が厚く、多くの水分を含むことができます。葉だけでなく幹にもたくさんの水分が多くあるのです。これと街路樹がどういう関係があるかというと、火事の際に火が燃え移るのを防ぐことができるのです。木が燃えにくいという特性ゆえに日本各地でイチョウが植えられていったのです。
それを裏付けるものとして、江戸時代からイチョウが多く植えられており、防火用の空き地に植える木といえばイチョウが選ばれていました。関東大震災の際には東京中で大火災が発生しましたが、イチョウが延焼を防いだという事例も多くみられます。それからは防災を兼ねて多くのイチョウが街路樹に植えられていきました。
ただ水分が多いというだけでなく、抵抗力もあり強健で、どんな場所でも生育します。害虫にも強く、成長も早い木なので北は北海道から南は沖縄まで広く植栽されています。とても重宝されていますね。
2007年の国土交通省の調査によると、街路樹としてのイチョウは57万本植えられています。代表的なイチョウ並木としては東京の明治神宮外苑ではないでしょうか。秋には黄色に色づいたイチョウ並木が人々を迎えます。イルミネーションもきれいですね。東京都のシンボルマークもイチョウの葉です。といっても東京都は「これはイチョウの葉ではなく東京都の頭文字の“T”をデザインしたもの」と言っています。でも多くの都民は「いちょうマーク」と言います。それしか見えないですよね。
このように、イチョウは火に強い性質をもつだけでなく、秋の風物詩として人々の目を楽しませることができる人々に愛されたきた木なんですね。春にきれいな桜の木もいいですが、秋のイチョウもいいですね。