日本地図を見ると、首都東京の位置はだいたい真ん中に位置しています。北に行くにも西に行くにも良い位置にあります。しかしアメリカやロシアや中国などの先進国の首都は、真ん中にあるのではなく東か西にあります。なんで真ん中にしなかったのでしょうか。
日本の首都、もとい都(みやこ)があったのは京都です。今から見ると少し西側に位置しています。でも江戸時代より前は北海道(蝦夷)や沖縄(琉球)は日本の領土という感覚が無かったので、東北から九州までが日本と考えると中心は京都や奈良になります。江戸よりも京都や奈良の方が統治するには都合が良かったのでしょう。
その後、豊臣秀吉が徳川家康を江戸に行かせたことで現在の首都東京が出来上がったわけですが、東京周辺は外国から一番遠い場所にあり、1,000km離れたところにようやく韓国の釜山、ロシアのウラジオストクが入ってきます。このように外国からの侵入があった際にも遠い場所に首都を置くことは国を防衛するうえで大事なのです。もし福岡が首都であったら、韓国との距離は200kmくらいしか離れていませんので防衛上難しい位置になっていたと言えます。
アメリカの首都はワシントンDCです。アメリカの地図上では東海岸にあります。ニューヨークやボストンには近いのに、西のサンフランシスコやロサンゼルスやシアトルなどからはだいぶ距離があります。ロサンゼルスまでの距離は4,000kmくらい離れています。なんで首都をアメリカの中心にしなかったのでしょうか。
実は、アメリカ建国時の13州の中ではワシントンDCは中心に位置していました。西にも多少領土は持っていましたがまだまだ未開の地であったため、人々の交流や貿易のしやすい海沿いの真ん中に首都を置いています。
その後、西と南に領土が拡大していって西海岸まで領土が増えました。アラスカやハワイもくっつきました。広大なアメリカを統治するために真ん中あたりに首都を置けばよかったのですが、アメリカ中央部は何もない場所ですので、それなら今まで通りワシントンDCに首都を置いたままにしよう、ということになったのです。
アメリカのように領土面積が変わった結果、首都の位置が真ん中ではなくなったものとしてロシアのモスクワや、韓国のソウル、イギリスのロンドンなどが挙げられます。
地理的に真ん中に首都を置けなかった例としてオーストラリアの首都はキャンベラがあります。キャンベラは東海岸の真ん中あたりにある都市で、シドニーやメルボルンに近い場所です。オーストラリアの真ん中は砂漠のため人が住めるような場所ではなかったため、海沿いに首都を作るしかありませんでした。
首都と言っても、その国の歴史や地理的な問題で真ん中にしたくてもできなかったということです。そう考えると日本の中心地にある東京は意外と珍しいのかもしれません。