クルーズ客船は乗っているだけでも楽しい船です。食事は3食付いていますし、映画やダンス、日光浴や運動もできます。クルーズ客船は目的地までの移動手段ではなく、乗ること自体が目的となっています。その中に、必ずと言っていいほどプールが付いています。クルーズ客船には欠かせないプールですが、その水は淡水なのでしょうか。それとも海水なのでしょうか。
一昔前の客船に付いているプールは、船尾のデッキに設けられていましたが、最近の客船は最上階のサンデッキに複数のプールを設置しているものが増えています。最上階のサンデッキは、大きい船だと15階くらいの高さになるのでエレベーターで昇っていきます。大海原を見ながらのプールは気持ちの良いものですね。かつてはポンプで汲み上げた海水を使っていましたが、現在のプールの多くは淡水、つまり真水を使用しています。
なぜ真水を得られるのでしょうか。じつはどの客船も、海水を淡水に変える造水機を船の中に搭載していて、プールの水を淡水にしているのです。「プールといえば真水」というイメージを多くの人が持っているので、海水より淡水のプールの方が好まれているようです。
しかし、わざと海水にしている客船もあります。例えば日本の客船「飛鳥Ⅱ」のプールは、各寄港地の海水を汲んでいます。世界一周の航路なら7つの海の海水を楽しめるということです。そして、寄港地でビーチに立ち寄る時間が無くても、各寄港地の海を楽しむことができるのです。
海の水はベトベトするイメージがあるかもしれませんが、浜辺の海水とは違い、陸地から離れた海水は磯臭さやベトベト感は無く、むしろサラサラしていますので、海水ではあるものの入りやすいプールになっています。
さて、クルーズ客船はバケモノのように巨大な船ですが、プール自体はとても小さくできています。小さなプールが複数あるという感じです。なんで巨大なプールにしないのでしょうか。
それは船の揺れの問題があるからです。船が揺れる周期と、プールの水が自然に揺れようとする周期が一致すると同調現象が起こってしまい、津波のように水が大暴れしてしまいます。そうなるととても危険なのでプールのサイズはわざと小さく造っているということです。クルーズ客船だからといって何もかも大きく造ることは出来ないんですね。