軍艦の中で特異なものといえば潜水艦でしょう。通常は海の中に潜んでいるので私達が見ることはほとんどないでしょう。実は潜水艦には2種類あり、一つが原子力潜水艦で、もう一つがディーゼル式の通常の潜水艦になります。今回は原子力潜水艦がなぜ最強と言えるのか考えたいと思います。
潜水艦は水の中に潜っていてなんぼのものです。有事の際には敵から居場所が分かってしまうと真っ先に攻撃されてしまうからです。しかし、潜水艦の中には人間が乗っていますので、定期的に海面に浮上して酸素を取り入れなければなりません。ディーゼル式の潜水艦はたびたび浮上する必要があります。
一方、原子力潜水艦は空気を求めて浮上する必要はありません。動力が原子力なので、半永久的に潜っていることが可能なのです。原子力潜水艦は海水を蒸発させることで真水を作りだすことができますし、それを電気分解することによって酸素も作り出せます。といっても食べ物を補充しなければいけないので何年も潜りっぱなしということは出来ませんが、食料さえあればかなりの期間、潜っていられるのです。それゆえ究極のステルス兵器とも呼ばれています。
現在、原子力潜水艦を保有している国はアメリカ、ロシア、中国、イギリス、フランス、インドの6か国になります。原子力潜水艦は長いあいだ潜っていられるということは、長距離の移動が可能であることを示しています。
では、なぜ日本も原子力潜水艦を持たないのでしょうか。それは日本の防衛の基本理念が「専守防衛」だからです。つまり、敵から武力攻撃を受けたときに初めて防衛力を行使します。なので日本の近海に潜むのがメインで、日本から遠く離れた海での潜水艦の運用は考慮されていないのです。なので原子力潜水艦を持つ意味は無いといえます。
実はディーゼル式の潜水艦のメリットは静粛性です。ディーゼル機関を止めてバッテリー駆動にすれば音を出すことなく航行できるのです。対して原子力潜水艦は音が大きいため敵に発見されやすいデメリットを抱えています。最強であっても弱点があるんですね。日本の場合、原子力潜水艦よりもディーゼル式の通常潜水艦のほうが圧倒的に運用しやすいということです。最近ではリチウムイオン電池が搭載されたディーゼル式の潜水艦もでていて、原子力潜水艦でなくても長期間航行可能となっています。
