アラスカ州は現在アメリカ合衆国の領土です。アメリカ本土とアラスカの間にはカナダがあるので距離的には離れてはいますが、れっきとしたアメリカの領土です。そしてアメリカの州の中で一番面積が大きな州となっています。しかし、今から150年以上前のアラスカはロシアの領土でした。では、なぜロシアの領土だったアラスカがアメリカのものとなってしまったのでしょうか。
ロシアがアラスカを見つけたのは1648年のことです。しかし18世紀末までアラスカのことは忘れられています。動きがあったのは1799年です。アラスカで植民地経営と毛皮交易を行うために露米会社(ロシア帝国の国策会社)がロシア帝国の勅許を受けて本格的に進出していきます。
しかしロシアはアラスカ全土を掌握するのではなく、沿岸部にとどまっていました。なぜでしょうか。皆さんご存知の通りロシアの国土は大変広く、首都ペテルブルク(現在のサンクトペテルブルク)まではメチャクチャ広いシベリアを横断しなければなりません。毛皮が取れたとしても距離が長い分、輸送費が高くついてしまったのです。また、動物を乱獲したため毛皮も取れなくなり会社の存続が難しくなってしまったのです。
加えて、現在のカナダはイギリスが支配していましたが、当時のロシアにアラスカを防衛する力はありませんでした。国家財政もひっ迫していたこともあって、ロシア帝国はアラスカを売ることになりました。売る相手も脅威となっていたイギリスではなくアメリカを選んだのです。
売却額は720万ドルという破格の値段でした。現在の貨幣価値にすれば1億5000万ドルくらいになります。日本円にすれば200億円弱くらいでしょうか。アラスカの面積にしてみれば安すぎですね。しかしアメリカ国民からは「巨大な保冷庫を購入した」と非難されました。「何にもない土地を買ってどうするんだよ」と怒ったのです。
しかし約30年後、アラスカで金鉱が発見されるなどたくさんの資源が眠っていることが判明します。それから半世紀後には大型油田が見つかります。そして海流の関係で魚がたくさん獲れる場所でもあるのです。サーモンやスケソウダラやカニなどは有名ですね。
このようにロシアがアメリカに売った後、たくさんの地下資源や水産資源がアラスカにあることが判明しました。もしロシアが今でもアラスカを持っていたらどうなっていたんでしょうね。