貴殿のふとした疑問に答えるブログ

ふと疑問に思う「なぜ?」「どうして?」「〇〇って何?」に答えるブログです。

長大な海岸線を持っているのに生かすことができない国とは?

太平洋艦隊

皆さんは日本の海岸線がどのくらいかご存知でしょうか。日本はたくさんの島を抱えているので、その分多くの海岸線を有しています。なんと世界でも6番目に長い海岸線を持っていて、29,751kmになります。これはオーストラリアやアメリカ以上です。日本各地に港があり、漁港、貿易港、軍港など様々な用途で使われています。

 

日本以上に海岸線が長い国の一つにロシアがあります。国の面積はダントツで世界1です。島の数が少ないため、海岸線の長さでは4位ではありますが、37,653kmもの海岸線を有しています。しかしロシアは海岸線の長さを活かすことができません。なぜでしょうか。

 

その答えは、冬季は海が凍って港が使えなくなってしまうからです。つまり不凍港が少ないということです。日本ではオホーツク海に流氷がやってきて船の航行に制約が出てしまいますが、大きな港はないのであまり問題はありません。しかしロシアの場合、国土の大部分が高緯度に位置しているため、多くの港が凍ってしまいます。そして不凍港であったとしても、自由に行き来できる立地ではありません。主要な港としてどこがあるでしょうか。

 

ウラジオストク

聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。日本に一番近いロシアの都市です。ここには太平洋艦隊本部があります。不凍港ではありますが、太平洋に出るにはアメリカの同盟国である日本が邪魔しているため簡単には出られません。そのため北方領土の隙間から太平洋に出ていきます。

 

ムルマンスク

首都モスクワから2,000km北にある北極圏最大の都市で、漁業と海運業を主産業とする連邦最大の港湾都市のひとつとなっています。北極圏に位置している割には暖流の影響で不凍港となっています。ここには北方艦隊本部が置かれていて、北極圏の利権を確保するための任務もあります。比較的自由度の高い港です。

 

カリーニングラード

バルト海に位置する都市で、ロシアの飛び地にある都市です。バルト艦隊本部はこの港を使っています。バルト海に面したロシアとバルト三国唯一の不凍港ですので貴重な港です。日露戦争で日本海軍と戦ったバルチック艦隊は、このバルト艦隊の事です。カリーニングラード(バルト海)から大西洋へのアクセスはアメリカの同盟国であるデンマークに阻まれる可能性があり自由に航行できません。

 

ノヴォロシースク

この都市は黒海沿岸にあり、黒海艦隊の基地がありますが、黒海から地中海に出るためにはアメリカの同盟国であるトルコの海峡を通る必要があるため、自由な行き来はできません。

 

ロシアは長い海岸線を持っていても、海が凍って使えないか、使えても有事の際にはアメリカの邪魔が入り自由な航行ができないなど制約があり、寒いがゆえに使い勝手の悪い国土なのです。

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