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なぜ北海道だけで羊が飼育されているの?

羊肉を使ったジンギスカン

皆さんはジンギスカンを食べたことはありますか。ジンギスカンは羊の肉になります。北海道に行くとジンギスカン専門店を見かけることが多いですが、本州ではさほど見かけません。なぜ北海道だけ羊の肉があるのでしょうか。北海道で羊が飼育されている背景について考えたいと思います。じつは歴史的、地理的な要因が複雑に絡み合っています。

 

まず、歴史的な背景から見ると、北海道に羊が初めてやってきたのは1857年のことでした。これは箱館(現在の函館)に10頭の羊が輸入され、飼育されたことから始まりました。当時、羊毛は軍需品として重要視されており、日本でも自国産の羊毛を確保する必要がありました。そのため、政府は羊の飼育を奨励し、北海道に種羊場を設立しました。しかし、当初は伝染病などの問題で飼育は困難を極めました。

 

次に、1914年に始まった第一次世界大戦が大きな影響を与えました。イギリスが羊毛を軍需品に指定したため、日本は羊毛を輸入できなくなり、国内での生産が急務となりました。このため、政府は「緬羊百万頭計画」を立ち上げ、国内の羊の飼育を推進しました。この計画の一環として、北海道でも多くの羊が飼育されるようになりました。

 

さらに、地理的な観点から見ると、北海道の気候と広大な土地が羊の飼育に適していました。冷涼な気候と豊富な牧草地は、羊の健康と成長に適しており、湿潤な他の地域よりも羊の飼育がしやすい条件が整っていました。

 

また、食文化としても定着していきます。もともとは羊毛をとるために羊を飼育していたわけですが、食肉としても利用できないか試行錯誤していました。そのままだと臭くて食べられないと言われていた羊肉ですが、タレに付け込んで焼くジンギスカンという羊肉料理が作られ、それが北海道内に広まり、地元の食文化として根付いています。この料理が普及した背景には、北海道での羊の飼育が盛んであったことが一因です。ジンギスカンは羊肉の独特の臭みを抑える工夫がされており、一般の家庭でも食べられるようになりました。

 

これらの要因が重なり合って、北海道は日本国内で唯一、羊の飼育が盛んな地域となったのです。このような背景から、現在でも北海道は羊肉の生産地として知られ、ジンギスカンは地元のソウルフードとして愛されています。でも、もともとは衣料を作るための羊毛をとるために輸入されたものだったのです。

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