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戦国武将が好んで「トンボ」を用いたのはなぜ?

夏から秋にかけてトンボが飛びます。とりわけ秋に飛ぶ赤トンボは歌にもなるように日本人には馴染みのある虫になります。皆さんも子供のころにトンボを採っていた方もおられるのではないでしょうか。じつはトンボは「日本書紀」にも描かれるほど馴染みのあるものでした。そして戦国時代でもトンボが使われていました。それはなぜでしょうか。

 

戦国時代の武将たちがトンボを用いた理由は、その虫が持つ特別なイメージにありました。トンボは「勝ち虫」として知られています。これは、トンボが前にしか進まない勇猛な性質を持ち、後退しないという意味で、戦場での勇敢さや決して引かない姿勢を象徴しているからです。このようなトンボの特性から、武士たちはトンボを縁起物として大切にしました。

 

トンボの装飾は、兜や鎧、箙(やなぐい)、鍔(つば)などの武具に用いられました。また、陣羽織や印籠の装飾にも取り入れられ、当時の武将たちの間で一大ブームとなりました。

 

特に、武田信玄の家臣であった板垣信方(いたがき のぶかた)は、兜の前立てや手甲、着物に至るまでトンボの装飾を施していたことで知られています。また、前田利家も兜の前立てにトンボのデザインを用いました。さらに、本多忠勝という武将は「蜻蛉切(とんぼきり)」と呼ばれる長さ約6メートルの長槍を愛用していました。その槍の名前の由来は、ある時、蜻蛉(とんぼ)が穂先に止まった瞬間、真っ二つに切れてしまったという逸話から来ています。

 

このように、トンボは戦国時代の武将たちにとって、勇気や決断力を象徴する特別な存在でした。そのため、武将たちはトンボを装飾として身につけることで、自らの決意を示したのです。

 

トンボの凄さは、その素早い飛行や、素晴らしい視力にもあります。トンボの目は非常に発達していて、広い範囲を見渡すことができ、獲物をすばやく捕らえることができます。このように、トンボは戦いの象徴だけでなく、その自然界での能力も優れています。これらの特徴が魅力的に映るのかもしれません。

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