貴殿のふとした疑問に答えるブログ

ふと疑問に思う「なぜ?」「どうして?」「〇〇って何?」に答えるブログです。

「くさや」って何? どのくらいくさいの?

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皆さん「くさや」と言うものを知っていますか?干物の一種で伊豆諸島の特産品です。
名前からいって臭そうですよね。その通りで「くさや」は臭いもの日本代表といっても過言ではありません。

 

くさやに使われる魚種は豊富で、ムロアジ、トビウオ、サメ(切り身)、かわはぎ、うつぼ、いわし、さんま等あります。この点はスーパーで売られている干物(塩干し)と同じですね。

 

では、「くさやの干物」と「塩干しの干物」は何が違うのでしょうか。

 

●塩干しの干物 →魚の種類や大きさにもよりますが約15%の塩水を作り、魚を20~30分塩水に漬け込みます。芯まで塩が回ったら取り出して水洗いします。風が通り、日が当たる場所に魚を干し、表面が完全に乾いたら出来上がりです。

 

●くさやの干物 →おろした魚をくさや汁の中に漬け込みます。種類や大きさにもよりますが、8~20時間くさや汁に漬けておきます。ちなみにくさや汁の塩分は6~8%ですので、塩干しの干物に比べて長時間漬けておく必要があります。その後、天日に1~2日干せば出来上がりです。

 

くさやはなぜ生まれたのでしょうか。
室町時代からくさやの原型はあったとされていますが、江戸時代では幕府への献上品にもなっています。ですから歴史ある日本の食べ物です。

 

日本は豊かな海に囲まれています。当然伊豆諸島も海は身近なもので塩も作っていましたが、塩は幕府に上納(年貢)しなければならないため、とても貴重なものでした。

 

そのため島民たちは魚の塩漬けに、使い残しの塩水を何回も使うことになります。その塩水にどんどん魚の味が加わっていくようになりました。時と共に塩水が熟成され、独特の風味を醸し出し、保存性に優れ、これに改良を加えつつ、今日のくさやの汁が完成したのです。このくさや汁の造り方は極秘とされ代々その家に伝えられていているのです。昔はくさや汁も嫁入り道具の一つだったようです。

 

においはどのくらいなのでしょうか。
くさやの匂いは、どぶのにおい、嘔吐物のにおい、公衆便所のにおい、養豚場のにおい、などと揶揄されています。ここまでくると悪臭ですね…。

 

におい成分を数値化する装置があり、くさやを測ったところ加工前で447Au、焼いた直後は1267Auでした。焼いた後の方が3倍くさいんですね。ちなみにAu(アラバスター単位)とは、におい成分の成分量の単位を指します。

 

納豆は452Au、世界一臭い食べ物である「シュールストレミング」に至っては8070Auというとてつもない数値を出していました。焼いたくさやの6,7倍です。恐ろしい…

 

くさいくさいと言われるくさやの干物ですが、食べるとうまみが凝縮していて、口の中で核爆発を起こすとまで言われています。ご飯のおかずとして、また酒のつまみとして昔から多くの人に愛されているのです。今では伊豆諸島に行かずとも通販で気軽に買えますので、「くさやの干物」一度食べてみてはいかがでしょうか。でも焼く時にはくれぐれも換気扇を最強にしてくださいね!

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