貴殿のふとした疑問に答えるブログ

ふと疑問に思う「なぜ?」「どうして?」「〇〇って何?」に答えるブログです。

旅って何?

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国語辞典によると、旅とは「住んでいる所を離れて、よその土地を訪ねること。旅行。」と定義されています。


多くの人は旅が好きでしょう。美味しい食べ物を食べる。美しい景色を見る。温泉に入る。サーフィンを楽しむ。このような目的を持って旅に出かけることがほとんどです。そのために事前に会社に1週間の休みを申請し、ネットで航空券やホテルを予約し、当日空港まではバスや電車を使います。スマホがあるので地図や見どころもばっちり!というのが現代の旅かもしれません。しかし時代が変われば旅の概念や方法も変わります。それで、今回は「旅」について考えてみたいと思います。


現在は交通も発達していますし、便利グッズもたくさん売られています。スマホがあれば必要な情報や電話もかけられます。もしこれらが無ければ皆さんは旅に出るでしょうか?遠出をするのをためらうのではないでしょうか。


自由に自発的に旅をし始めたのは平安時代と言われています。何のために旅をしたかというと「信仰」のためでした。僧侶は修行や伝道のために旅をし、一般人は社寺に参詣するために旅をしました。まさに聖地巡礼ですね。室町時代以降は伊勢参りが盛んになり、また西国三十三所や四国八十八箇所のお遍路などが盛んになってゆきます。


しかし当時の交通手段はもっぱら徒歩、宿も極めて少なく、舗装もされていないような道をひたすら歩くとなると、旅は楽しいものではなく、むしろ修行のようなものでした。途中で盗賊に襲われたり、食料が底を尽きるなどで、そのまま道で亡くなることも少なくなかったようです。面白い逸話として、奈良時代に果物の街路樹を植える施策が出されました。町の景観の向上もありましたが、もう一つの理由は、貧しい人や旅人が食糧の尽きた時に果物を食べられるようにしたとのことです。当時はいかに旅をするのが過酷なのかが分かる話ですね。


江戸時代になりますと交通手段や宿泊施設、道の整備も進んでゆきます。徳川家康によって五街道(東海道、中山道、日光街道、奥州街道、甲州街道)が日本橋を起点に延びるようになり、街道筋には宿場や茶屋、商店を設け、馬や駕籠などの交通手段も沿道に並ぶようになりました。かなり旅が身軽になってきましたね。そして近代になると、鉄道や汽船の登場で長距離の旅行が可能になり、そして現在に至ります。


日本のことわざに、「旅は憂(う)いもの辛いもの」という言葉があります。
旅行は知り合いもなく、頼る人もないから、とかく心配や辛いことが多いものである」という意味です。現代でもそのように感じることはあるかもしれませんが、昔の旅行は修行の場ともいわれるほど、不便で苦難の連続でした。時代によって旅というのは違いますね。

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