2019年6月13日、ホルムズ海峡付近(イランとオマーンの間)で日本の石油タンカーが攻撃を受けました。安倍総理がちょうどイランを訪問していた時だったので、連日大きなニュースとして取り上げられていました。
ホルムズ海峡、たびたびニュースで耳にしますが特段広い海峡ではありません。むしろ狭いです。水深75m - 100m、最も狭いところでの幅は約33kmしかありません。また海峡内にはいくつかの島がありますので、そこを大型タンカーが通るのは大変なことです。しかしこの狭い海峡に各国の船が行き交うことを考えるととても重要な場所であるに違いありません。
なぜこの狭い場所に大型タンカーが通るのでしょうか。それは石油や天然ガスを運ぶためです。ペルシャ湾沿岸諸国で産出する石油や天然ガスの重要な搬出路で、石油は毎日1700万バレル(約27憶リットル)を各国のタンカーが運んでいます。そして、日本に来るタンカーの8割がこの海峡を通っています。ですから日本のホルムズ依存度は約80パーセントということになります。日本から1万2千キロも離れていますが、とても重要な海峡であることが分かります。
日本への原油供給国は、サウジアラビア、UAE(アラブ首長国連邦)、カタール、クウェート、イラン、イラク、オマーンなどです。また液化天然ガス(LNG)はカタールとUAEに大きく依存しています。これらの中東諸国から原油や天然ガスを輸入するにはホルムズ海峡を通る必要があります。たった幅33kmしかないシーレーン(Sea Lines=海上交通路)は日本にとっての生命線といっても過言ではありません。
日本のタンカーが攻撃された時にも、短期的ではありますが原油価格が一気に跳ね上がりました。もしイランによってホルムズ海峡が封鎖にでもなれば影響はいろいろなところに表れてゆくでしょう。ペルシャ湾を囲んでいる中東諸国は、石油が売れなくなりますので大ダメージですし、日本は中東から8割の原油を輸入していますので代わりの国を探さなければなりません。原油価格が上がってロシアなどは喜ぶかもしれませんが…。
政情が常に不安定な中東諸国、ホルムズ海峡も今回の事件のように、いつ機雷が仕掛けられたりミサイルが飛んで来るかも分かりません。そのような緊張の強いられる中でエネルギー資源を間断なく届けてくださる船会社と乗組員に心から感謝いたします