2022年3月時点で、ロシアがウクライナに戦争を仕掛けたことによってエネルギー価格がぐんと跳ね上がりました。西側諸国がロシアに対して厳しい経済制裁を続けることで、特に欧米のエネルギー市場では、ロシアからの天然ガスや原油の供給が減るのではないか、という懸念がでてエネルギー価格が上昇しました。それほどロシアは石油やガスが採れる国なのです。
ロシアは各国にガスを売るために、長大なパイプラインを敷設してヨーロッパや中国までガスを送っています。日本でもサハリン(ロシア)からパイプラインを引こうとしていましたが、今回のウクライナ侵攻の件で先が見通せなくなりました。本来であれば、パイプラインから直接ガスが送られてくることでコストを下げることができるのですが、現在は船による輸送となっています。
前置きはここまでにして、表題にあるようにガスはどのように届くのか考えたいと思います。ガスというのは動物や魚やプランクトンの死骸が地中奥深くに埋まり、地中の熱や上からの重みで長い年月をかけて圧縮され、燃える気体、つまり天然ガスとして生まれ変わったものです。それの液体版が石油になります。
天然ガスが溜まっているところをガス田といい、世界各地にガス田は存在しています。日本はアメリカ・オーストラリア・ブルネイ・マレーシア・インドネシア・ナイジェリア・ロシアなどからガスを買っています。各国とパイプラインをつないでいませんので、船でガスを運んできます。
でも、ガスは気体です。フワフワした空気をたくさん運ぶのは非効率です。そのため天然ガスをマイナス162度に冷やして液体にします。そのように圧縮することでたくさんの量のガスを運ぶことが可能になります。この液体化したガスをLNG(液化天然ガス)といいます。そして、この液化天然ガスを運ぶ船をLNGタンカーといいます。
外国から運ばれてきた天然ガスは日本の沿岸のLNG基地に到着します。LNG基地とはガスの受入・貯蔵・気化を行う施設で、タンカーから専用のパイプを通って基地のタンクに貯蔵されます。
そして今度は液化されたガスを海水で温めることで、気体のガスに戻します。気体に戻すために海水を使うのでLNG基地は海沿いにあるのです。そしてガスが漏れても分かるようにニオイを添加して、地中に埋まったガス管を通って各家庭に運ばれていくのです。これが都市ガスといわれるものです。
遠い遠い外国の地中に長年埋まっていたガスが、現在の私たちの生活を潤すために使われているんですね。温かいお風呂や料理などにガスは役立てられているのです。