皆さんの抱く香港のイメージはどんなものですか？ 金融、摩天楼、飲茶、二階建てバス、映画、香港カーブ、ヴィクトリア・ピーク…などなど色々なものを思い浮かべることができますよね。
では香港はどこにあるのでしょうか。中国の南にあり、中国の深圳（シンセン）に隣接しています。カジノで有名な澳門（マカオ）とは70キロしか離れていません。
香港は235余りの島々から成り立っていて、面積は東京23区の約2倍です。少ない土地しかありませんが、人口は700万いるのですからかなりの人口密集地であることが分かります。香港市民は男女ともに平均寿命で世界一位になっています。
さて、香港は中国の一部なのでしょうか。答えはイエスです。香港は国ではなく中国の一都市になります。しかし中国は香港を「香港特別行政区（特区）」としているのです。特別行政区とは、本国（中国）の地方行政制度とは異なる行政機関が設置され、独自の法律が適用されるなど、大幅な自治権を持つ地域のことをいいます。ちなみに1999年にポルトガルから返還されたマカオも特別行政区になっています。
なぜ中国は香港を特区としているのでしょうか。それは「一国二制度」という体制をとっているからなんです。香港は1997年にイギリスから返還されましたが、それまでイギリスが統治していた時は、香港も資本主義でした。では、中国に返還されたとたんに中国のように社会主義になれるでしょうか。難しいですよね。ですから香港はイギリスに倣った資本主義の制度を継続しているのです。このように中国の中に社会主義と資本主義の2つの制度が存在するようになったので一国二制度と言われています。
香港には国旗というものはありませんが、香港独自の旗は存在します。通貨も中国元ではなく香港ドルを用いています。パスポートも中国とは別です。司法においても香港は中国の法ではなく、英米法（コモン・ロー）体系が施行されています。このような多くの違いがあるので、「香港は中国にあって中国にあらず」なのです。香港で育った多くの人は、自分を中国人ではなく香港人と考えています。
香港の人たちは、中国からの干渉をとても嫌がります。中国の法治が及ぶのをとても恐れているのです。なぜなら中国が香港を支配すると自分たちが享受してきた多くの自由が奪われると考えているからです。それを防ぐために時に大規模なデモを行い中国の支配に抵抗しているのです。日本人が考える以上に「一国二制度」って難しい問題なんですね。
