参照:wikipedia 阪堺電気軌道
そもそもLRTとは何の事でしょうか?LRTとは、Light Rail Transit(ライトレールトランジット)の省略になります。実は北米以外の国では定まった定義があるわけではなく、ここ日本においては低床車両の路面電車(併用軌道)をLRTと呼称することが多く、最新の技術が反映された次世代型の路面電車と言えます。
LRTにはどんな特徴があるのでしょうか。LRT事業を進めている宇都宮市のサイトには以下のように書かれています。
・LRTの車両は、騒音や振動が少なく快適な乗り心地
・車両の床が低く平らで、ホーム(乗り場)との間に段差や隙間がほとんどない
・専用レールを走るため、時間に正確な運行が可能
・洗練されたデザインは、「まちのシンボル」になる
・道路上を走るので、ほかの交通手段との連携がスムーズ
確かに昔の路面電車とはデザインやバリアフリーという観点から見ても違いますね。
宇都宮市だけでなく静岡市や金沢市、伊丹市や松江市など色々な地域でLRTの導入を検討している都市があります。
続いて、路面電車とLRTの時代背景について考えてみたいと思います。
東京には都電「荒川線」という路面電車が走っています。荒川区の三ノ輪橋停留場と新宿区の早稲田停留場を結ぶ12.2kmの路線です。現在は1路線しかありませんが、全盛期の1955年頃には40系統も運行されていたこともあります。なぜほとんどが無くなってしまったのでしょうか。
今でこそ車は誰でも持てる時代でしたが、60,70年前は車を持てる人は限られていました。その後、車社会が到来し東京にも人と車が集まってくるようになりました。また、地下鉄が出来たことによって都電の採算が悪くなったなどの理由で路面電車の多くが廃止されてしまったのです。ほかの都市でも似たような状況ゆえに路面電車の廃止や縮小がなされました。
では、なぜ今ごろ次世代型とはいえ路面電車の進化版(LRT)を走らそうとしているのでしょうか。大きな理由として社会情勢の変化が挙げられます。現在の日本は少子高齢化にまっしぐらです。車を運転できなくなる人は今後も増加してゆくことが予想されます。それゆえ新たな公共交通機関が生まれることは年配者にとって良いことと言えます。
また、交通機関を整備することで街が活性化します。人口が減る中、車を持てないと外出が減り、消費の拡大は望めません。LRTなどの移動手段があることで街に活気と消費をもたらし経済効果を生み出すことで、持続可能な街を維持することができます。
確かに新たにLRTを走らせるとなると、費用も掛かりますし、渋滞がひどくなるのではと懸念される方もいます。LRTの成功か否かは走らせてみて10年後くらい経たないと分からないかもしれませんね。今後の日本は人口も減り、自治体も維持できなくなるところも出てくることでしょう。何かしらの手を打たないといけない状態になっています。LRTが採用されるのであれば、街の活性化に役立つことを期待したいですね。