みなさんの最寄りの駅は有人駅でしょうか。それとも無人駅でしょうか。無人駅とは利用客が0人というのではなく、駅員が配置されていない鉄道駅のことです。駅によってはある時間帯に駅員がいないという時間帯無人駅というのも存在します。当然駅員がいないので出札・改札・集札が行われない駅になります。
国土交通省の調査によると令和2年3月末の時点で全国に9465ある鉄道の駅のうち、48.2%にあたる4564駅が無人駅であるということです。年々多くの鉄道会社で無人駅が増え続けています。では無人駅が増えたのはなぜでしょうか。
無人駅と聞くと、過疎地のローカル線の駅を思い浮かべるかもしれません。あたり一面が畑だったり、人家がまばらな場所という感じです。しかしICカード乗車券の普及や鉄道事業者側の経費削減という都合も加わり、近年では大都市圏の都市鉄道でも比較的多く見られます。
鉄道会社が駅に駅員を置かないことによるメリットは、やはり人件費が大きいと言えます。小さな駅で駅員を1人置くとなると月に20~30万近くかかるとします。駅員が使うトイレの維持費や通信費や電気代もかかります。このような費用の積み重ねが経営を少しづつ圧迫してゆくのです。
そして現代は人口も減少しています。当然鉄道に乗る客も減っていきますので相対的に売り上げも減っていきます。そのため鉄道会社としては利益をだすために人件費を抑制するのは当然のことかもしれません。不正乗車による料金の取りこぼしよりも削減できる人件費の方が大きいのです。
では利用者側のデメリットは何でしょうか?先ほども述べたように駅員がいないので不正乗車が行なわれる可能性があります。また治安の悪化もあるかもしれません。機械トラブル(券売機や改札機)があった際にすぐに対応できないこと、介助が必要な人に対して迅速に対応できないことなどが挙げられます。視覚障害者の安全確保という点においても難しくなります。転落防止のために日本中のすべての駅にホームドアを付けることは現実的に無理ですので、目の不自由な方は駅員によるサポートが無いと不安に感じるでしょう。
コロナの影響によって鉄道利用者がかなり減りました。テレワークが進んだことなどもあって以前の水準まで利用者が回復するとは思えません。そうなると鉄道会社は利益を出すために今後も駅の無人化を進めていくことは間違いないでしょう。