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草津温泉から流れるめちゃくちゃ酸性の川の水ってどうなってるの?

「草津よいとこ一度はおいで♪」これは民謡草津節の歌い出しです。歌にもあるように草津温泉は日本人のみならず外国人にも人気の温泉地で、酸性の温泉としても有名です。草津温泉は毎分3万2300ℓ以上も湧き出ていて、自然湧出量は日本一となっています。1日でドラム缶約23万本ものお湯が湧いていることになります。そのため、草津温泉にあるどこの宿泊施設でも源泉掛け流しが楽しめます。そのくらい多くの温泉が出ているのです。

 

草津温泉のpHは2.0程度と酸性度が非常に高く、雑菌などの殺菌効果があります。pHは2.0の温泉はかなり強力です。金属を温泉に入れて放置していると数日後には溶けてなくなってしまうほどです。草津を流れている川(湯川)も同じく強酸性で、日本で最も強い酸性の川となっています。

 

これだけ酸性が強い川なので、昔から死の川として恐れられていて、魚はおろか川虫や川藻も見あたらない川でした。構造物を造ろうにも、コンクリートや鉄では酸によって腐食してしまう有様でした。農業用水にも向きません。少しづつ薄められるとはいえ、強い酸性は、下流にまで影響します。下流とは利根川や分派河川の江戸川です。

 

では現在、酸性の川はどう処理しているのでしょうか。それは河川を中和することです。簡単に言えば、酸性の川にアルカリ性のものを入れることで、中和させるのです。

 

草津温泉街に草津中和工場というものがあり、湯川に石灰石粉(アルカリ質)を投入して、その先に建設された品木ダムに流れる過程で中和されていくという仕組みです。川の水は24時間湧いていますので、草津中和工場も24時間365日、湯川の中和を行っています。

 

湯川はその後吾妻川になりますが、現在の吾妻川には魚などの生物が棲むようになり、下流の人々も中和された河川の水の恵みを受けて生活できているのです。加えて、酸性土壌のために生じていた稲の秋落ちや、病気も減少し、収穫量も増加しています。

 

多くの人は、草津温泉で癒され、気持よく帰路に着きますが、酸性の温泉や川がこんなにも多岐にわたって悪影響を与えることは知らないでしょう。多くの人の見えない努力によって中和されていますので従事して下さっている関係者に感謝しなければいけないですね。

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