大きい川に行くと下流には河川敷が設けられていることがよくあります。河川敷は堤防と川の間にある広場のことです。多摩川の河川敷、荒川の河川敷、淀川の河川敷など有名ですね。河川敷には野球場やサッカー場、広場やゲートボール場などの施設があり、休日には多くの人が遊んでいますね。加えて、勝手に野菜や花を作っている人もいれば、ホームレスの人もいます。
そんな河川敷ですが、日本ではありふれた光景の一つではあるのですが、海外では河川敷をあまり見かけません。少なくとも私が行ったアメリカ、フィリピン、台湾、ドミニカ共和国、ベトナムでは河川敷を1度も見ませんでした(よく見たらあったのかもしれませんが)。なぜでしょうか。
日本は山が多く、しかも山が海近くまでせり出しているので平地が少ない国です。山に降った雨が川に集まり、下流に流れていくのですが、山が急斜面なので他国と比べて全体的に川の流れが速くなります。ですから、一度大雨が降ると下流では溢れてしまうのです。昔から水害と戦ってきた歴史があるんですね。
河川敷が無いと、川が増水した際にすぐに堤防を越えてしまうかもしれません。しかし河川敷があれば、同じように水が増えても河川敷に水が流れますので、あまり高くはならず堤防を越えることはほとんどありません。治水対策といて洪水の被害を和らげる役目が河川敷にはあるんですね。
対して河川敷を設けていない場所では平地の場所が多いため、雨が降ってもさほど増水しないのです。なので河川敷を設けるよりも、川ギリギリまで建物を建てることが多いのです。地形が大いに関係しています。
日本人にとって河川敷は憩いの場所となっていますが、この河川敷に空港を作ってしまった場所があります。それが富山空港です。富山空港は神通川の河川敷に空港があり、きちんと滑走路が敷かれています。日本で唯一の河川敷にある空港で、対岸から見るとかなり異様な光景となっています。知らない人が着陸機を見ると「神通川に不時着するのでは?」と思ってしまいそうです。ちなみに大雨が降った際には、この富山空港の滑走路も水没する設計になっています。
今回は河川敷について考えました。普段は憩いの場、洪水時にはたくさんの水を受け止めてくれる場所だったんですね。