皆さんがよく利用する空港はどこでしょうか。首都圏に住んでいれば羽田や成田空港、関西圏であれば関空や伊丹など利便性が高い大きな空港を使うことが多くなります。大きい空港であれば国が運営しているんだろうと思いがちですが、実際は管理者と規模によって分けられています。
民間企業が管理する「会社管理空港」の中には成田、中部、関空、伊丹の4つの空港があります。国が管理している「国管理空港」には羽田、新千歳、福岡など19空港があります。そのほか地方自治体が管理する「地方管理空港」や、いずれにも該当しない「その他空港」、自衛隊や在日アメリカ軍と共用する「共用空港」に分かれています。
今回は「共用空港」について考えます。札幌飛行場(丘珠)、千歳飛行場(新千歳)、三沢飛行場、百里飛行場(茨城)、小松飛行場、美保飛行場(米子)、岩国飛行場、徳島飛行場の8つが該当します。
上記の8つの空港は、軍用機に混ざって民間の航空機も離発着しています。共用空港では、航空機と交信する管制はほとんどの場合自衛官が行っています。軍用機だけでなく民間機の離着陸に関してもです。なぜでしょうか。離発着にあわせて管制官がコロコロ変わっては時間の無駄になりますし、重大な事故も起きかねません。そのため緊急事態にも対応できるように、最初から自衛隊の専門家が管制するようにしています。
では軍用機と民間機の離発着が重なる場合はどちらを優先するのでしょうか。軍用機は民間機に比べて燃料タンクが相対的に小さく、そして燃料の消費も激しいので、軍用機を優先させています。軍用機は上空で長い時間待機することができないからです。
2021年は自衛隊機のスクランブル発進(緊急発進)が1,004回でした。とりわけ中国軍機やロシア軍機に対応するため頻繁に飛び立っています。共用空港からもスクランブル発進が行われています。その場合は民間機の離発着を止めて、軍用機が速やかに飛び立てるようにしています。やっぱり共用空港は運用面で大変なんですね。
ちなみに那覇空港は「共用空港」の扱いではなく「国管理空港」ではありますが、自衛隊機も使っている空港ですので、那覇でもF-15戦闘機など見られます。那覇はスクランブル発進が多い空港ですので、見るチャンスは多い空港です。しかし任務に就いている自衛隊のパイロットは必死に働いています。その重責をもって任務を遂行して下さっていることに感謝したいですね。