貴殿のふとした疑問に答えるブログ

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新千歳空港って、なんで札幌から距離が離れているの?

新千歳空港 ターミナル内

以前、3年間札幌に住んでいました。北海道内の移動は鉄道と車だったのですが、東京に行く時は飛行機一択でした。当然札幌からだと利用する空港は新千歳空港になるわけですが、札幌からだとちょっと距離が離れているんですよね。快速エアポートに乗れば40分もかからずに札幌駅から行くことができるのですが、「もう少し近ければ…」と感じてしまいました。なぜ、もっと札幌の近くに空港を作らなかったのでしょうか。今回はこの点を考えます。

 

ご存知の方も多いですが、札幌の近くに空港はあります。丘珠(おかだま)空港です。戦後しばらくは、この丘珠空港が北海道の玄関でした。しかし時代は進み、飛行機は大型化し、またジェット化していきました。丘珠空港の滑走路では大きな飛行機に対応できず、かつ騒音の問題からジェット機での離発着もできないため、丘珠空港は北海道内を結ぶ路線に特化した空港となりました。

 

丘珠空港の代わりとなったのが、航空自衛隊千歳基地の敷地内に作った現在の新千歳空港です。この千歳という場所は、北海道の中でも南に位置しており、太平洋側の気候だったため札幌に比べて降雪量が半分で、晴天率も高めで、滑走路に対して横風も吹かないため、気象条件はかなり良いところです。

 

ちなみに千歳の年間の気温分布は長野県軽井沢とほぼ同じということで、北海道の中でも過ごしやすい場所となっています。もし新千歳空港に大雪が降ったとしても、空港には日本最大規模の除雪機をそろえており、10台の除雪機で一気に雪を掻きだすという荒業をやってのけます。こういった理由から、新千歳空港は混雑空港であるにもかかわらず雪による欠航や遅延が少ないのです。

 

加えて、新千歳空港は広大な敷地に4本の滑走路があります。冷戦時、この空港はソ連に対する前線基地だったため滑走路も多く、有事の際は誘導路も用いて7本の滑走路から戦闘機が飛ぶことができる作りになっています。そのくらい規模の大きな空港となっています。

 

なぜ札幌から離れているのかという点として、気象条件と対ソ連対策のためで、簡単に言えば民間の利便性よりも、有事に備えて千歳に空港を作ったということですね。でも空港ターミナルに入れば、基地と共有しているという感じは一切なく、温泉施設やお土産物屋などとても居心地の良い空港となっています。

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