貴殿のふとした疑問に答えるブログ

ふと疑問に思う「なぜ?」「どうして?」「〇〇って何?」に答えるブログです。

崩れた山が海に落ち、とんでもない災害を引き起こした「島原大変肥後迷惑」

有明海から普賢岳を望む

雲仙普賢岳の噴火。少し年代のいった方なら聞いたことがあるでしょう。長崎県にある普賢岳の大噴火で、多くの死傷者を出した災害です。噴火は火山灰が降ってきたり、火砕流が流れて家々を飲み込むなど甚大な被害をもたらします。しかし、噴火によって津波を引き起こすこともあります。今からちょうど230年前にも普賢岳の噴火が引き金となり、近くにあった眉山が大崩壊し大津波を引き起こしました。今回はその話をします。

 

長崎県島原には総計20以上の山々からなる雲仙岳があります。江戸時代の1792年に雲仙岳の一番東にある眉山の山体が火山性の地震によって崩落します。山が崩れ、約3億4000万立方メートルもの土砂が有明海へと流れ込んだのです。

有明海は内海なので穏やかな海です。しかし土砂が流れ込んだ衝撃によって有明海に10m以上もの津波が発生します。島原の対岸にあった肥後の国(現在の熊本県)に大津波がやってきたのです。いきなり沖から津波がやってくるのですから人々は大パニックに陥ります。場所によっては20mもの津波が押し寄せたようです。しかし津波はそこでおさまりませんでした。

 

肥後の海岸で反射した波が再び島原にやって来ます。返し波の方が威力は高く、布津大崎鼻で57mの大津波が記録されたそうです。ここまでくると噴火や地震よりも大規模な災害になります。普段は波の穏やかな海なので、海沿いに暮らしていた人たちもまさか10m越えの津波が襲ってくるなんて思いもよらなかったと思います。

 

この津波による人的被害は凄まじいものでした。島原側では10,000人。肥後側では5,000人もの死者が出ています。山体の崩落が夜だったこともあり、津波に気付く間もなく流された方もいることでしょう。当日は新月の夜かつ大潮であったことも被害を大きくしたようです。

 

犠牲者を15,000人も出したこの大災害は、日本史上最大規模の火山災害となっています。意外と知られていませんよね。この大災害を「島原大変肥後迷惑(しまばらたいへんひごめいわく)」と言います。災害の多い日本ですから、いつ同じようなことが起こっても不思議ではありません。むかしこんな大災害があったということを覚えておくのはよろしいかと思います。

にほんブログ村 教育ブログ 社会科教育へ
にほんブログ村