私達は、都道府県それぞれにイメージというものを持っています。静岡県ならミカンやお茶、新潟ならお米、大阪ならたこ焼きやお好み焼き、という具合です。ではワインといえばどこを思い浮かべますか。チーズといえばどこをイメージしますか。今回はワインとチーズの生産量が1位の都道府県を紹介します。
それは神奈川県です。「ん?神奈川?ワインやチーズのイメージがないぞ」と感じられた方は多いでしょう。ぶどうを栽培している農家が多いわけでも、牧場が多いわけでもありません。ワインなら山梨県で、チーズなら北海道じゃないのと感じます。では、なぜ神奈川がワインとチーズの生産量が1位なのでしょうか。
ワイン生産量1位は神奈川県で、2位の山梨県の約2倍です。その中でも藤沢市が県内生産量の95%を占めています。なぜ藤沢市かというと、そこにメルシャンの工場があるからです。メルシャンはキリンHD傘下の国内最大手のワインメーカーで、お手頃で美味しいワインがメルシャンから販売されていますね。スーパーやコンビニでもメルシャンのワインが並んでいるのを見たことがあるでしょう。
メルシャン藤沢工場では、約100種類のワインがこの藤沢工場で作られています。海外から取り寄せた濃縮ぶどう果汁を発酵させ、味を整えるために他のワインをスパイスのように加えることで、安定した味のワインを作り上げているのです。ぶどうの生産量1位なら山梨県になりますが、ワイン生産量1位ならメルシャンの工場がある神奈川県になるのです。
続いてチーズです。都会の神奈川県に牛がいるイメージは無いでしょう。しかしワインと同じでチーズの生産量というところに着目すると分かりやすいかもしれません。チーズには大きく2種類あります。ナチュラルチーズとプロセスチーズです。
ナチュラルチーズとは、牛乳を原料としたものでモッツァレッラ、カッテージ、カマンベール、ゴルゴンゾーラ、チェダー、パルミジャーノ・レッジャーノなどがあります。菌や酵素が生きているため、独特な香りや味わいがあります。
プロセスチーズとは、ナチュラルチーズを原料として加工したチーズです。スライスチーズ、6Pチーズ、ベビーチーズなどです。加熱殺菌して作っているため、長い間保存でき、クセもナチュラルチーズに比べて少ないので食べやすいチーズと言えます。
神奈川県はプロセスチーズの生産量が多いため1位なのです。原料となるナチュラルチーズを海外から取り寄せますが、多くは横浜港で陸揚げされます。そのため横浜港の近くにチーズ加工工場が集まっていったのです。神奈川県には意外な日本一があったんですね。