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車社会が都市と郊外に与えた影響とは?

幹線道路沿いにはスーパーや飲食のチェーン店など、多くの商業施設が集まっています。だいたいどの都市を見ても、中心部はオフィスビルが立ち並び、郊外には住宅地と駐車場を備えた店がたくさん建ち並んでいますね。どうしてこのような構図ができたのでしょうか。今回は車社会が変えていった都市について考えていきます。

 

車が登場する前は、馬車や船、鉄道が交通手段として用いられていました。なので都市は川沿いや鉄道の駅を中心にして発展していきました。しかし車が普及していった戦後は都市の成り立ちも変わっていきます。

 

車社会になり、人や物の往来が頻繁になっていくと、都市は拡大していきます。都市部には商業やサービス業が集まってきて、住宅地は郊外に広がっていきました。ファミリー層は郊外の庭の広い家を購入し、自動車で都心の職場に通勤するようになります。その都市に人が集まっていくと、都市部の道路は手狭になっていきます。つまり交通渋滞を引き起こしていくのです。

 

また、自動車が普及していくと、都市間を結ぶ高速道路が作られていきます。加えて、高速道路が交わる主要な都市では、都市部の渋滞を避けるために環状線を作って、都市部に車が集中しないよう迂回させています。東京では外環道や圏央道などが当てはまりますね。

 

さらに、空港のような広大な敷地を必要とする施設も郊外に作られます。成田空港や関西国際空港などはそれに該当します。都市部では地方から人々が集まってきて人口が増えていきます。そのため交通の便が整った郊外に家を建て、次第に都市部にあった商業やサービス業も郊外に移動するようになります。となると、郊外も発展していき、「住」だけでなく「職」の機能も併せ持つことになり自立的に発展していったのです。

 

では、都市部はどうなるでしょうか。人気のある地域は大丈夫ですが、場所によっては地価の低下、老朽化した建物の増加、低所得者の集まる場所となることがあります。それをインナーシティー問題といいます。つまり、都心部にありながら治安悪化によって、その都市の市民との交流が隔絶された低所得世帯が密集する地域を指します。

 

東京の山谷、横浜の寿町、大阪のあいりん地区などは都心部にありながら、インナーシティー化しています。地方都市の中心部にあるシャッター通りもそれに該当します。取り残された場所ではありますが、もともと立地はとても良いので、都心回帰の名のもとに、一帯を再開発ビルやマンションに建て替える例も見られています。

 

車社会の進展によって、都市部と郊外の構造をも少しづつ変えていっているんですね。

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