貴殿のふとした疑問に答えるブログ

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ボストンの甘い悲劇:シロップの大洪水とは?

皆さんはシロップを使う機会はありますか。おそらくお菓子作りや飲み物などに使うことはあるかもしれませんね。シロップは水に比べてドロッとしていて、少し入れただけで甘さを得ることができます。では、もしシロップの洪水が起きたらどうなると思いますか。なにを言っているんだと言われてしまいますが、実際アメリカではシロップの洪水で町に大ダメージを与えた出来事がありました。今回はその出来事を書きたいと思います。

 

その出来事が起きたのは、第一次世界大戦が終わって間もない1919年1月15日です。アメリカボストンのノースエンド地区で大洪水が発生しました。洪水と聞くと海や川の水が押し寄せるものと考えられますが、この度はシロップの洪水が町を飲み込みます。なぜ洪水が発生したのでしょうか。

 

この街は工場や倉庫がたくさん建っており、その中の一つに糖蜜製造工場がありました。そこで造られていたシロップは巨大なタンクの中に貯蔵されていました。そのタンクが破裂したのです。

 

事故原因は定かではないようですが、事故発生前、ボストンはマイナス10度台の極寒の日が続いていましたが、事故当日は気温が急上昇し、4℃を超えました。約20度の気温差によってタンク内のシロップが発酵し、生じたガスによってタンクの圧が上がったことによる爆発が有力な説となっています。また、タンクの設計上の欠陥や老朽化も重なってこのような事故が起きたようです。

 

約870万リットルのシロップが一気に流れ出します。時速55キロの速さで町に襲い掛かります。最大2.5メートルの巨大な波となった場所もあるそうです。水とは違いドロッとしているため重たい水が襲ってくる感じですね。街は腰の高さにまでシロップに埋まり、建物を破壊し、人々を押し流していきました。水に比べて粘性があるので、一度波にのまれると逃げ出すのは困難でした。

 

結局、この洪水によって負傷者が150人以上、21人が亡くなるという大災害が起きてしまいました。そして流れた後も掃除が大変です。海に近かったので海水を使ってシロップを洗い流そうとしたのですが、粘性があるので簡単には流れていきません。建物や街路にこびりつくシロップを完全に除去するには数か月を要し、付近は何年もシロップの甘い臭いが漂っていたとのことです。

 

甘いシロップがここまでの災害を起こすとはだれも思わないですよね。メリカでは歴史上もっとも奇妙な災害の一つとして100年以上たった今も語り継がれています。

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