
車の給油とは違い、飛行機が飛ぶためには膨大な量の燃料が必要です。たとえば、国際線の大型旅客機だと1回のフライトでおよそ15万リットルもの燃料を使います。これは、200リットルのドラム缶で約750本分になります。一方、国内線を飛ぶ中型機なら、1回のフライトで使う燃料は1万~2万リットルほどです。ドラム缶にすると約60~100本分です。想像するだけで、その量がどれほど多いか実感できるのではないでしょうか。
空港で外を見ていないとどのように給油しているのかはあまりわからないでしょう。飛行機の給油は、私たちがガソリンスタンドで車に給油するのとはちょっと違います。空港では、給油専用の車「サービサー」が大活躍します。このサービサーは、車体に大きなタンクやホースを備えた特殊な車です。サービサーの車体に燃料があるわけではありません。実は空港の地下に燃料を貯める巨大なタンクがあり、サービサーはそこから燃料を取り出して飛行機に送っているのです。
サービサーのホースの片方を、地面にあるハイドラントピットにつなぎ、もう片方を飛行機の翼の給油口につないで給油しています。サービサーは動くガソリンスタンドといったところですね。サービサーは、燃料の中に含まれている水分を除去したりもしています。空港によってはハイドラントピットがない場所もあります。その場合は、サービサーの代わりに「レフェラー」と呼ばれる燃料タンク車が、他のピットから何往復もして機体に給油しています。
給油の際は、火花や静電気で燃料が引火する危険を防ぐため、細心の注意が払われます。作業中は飛行機の地面との接続を保ち、静電気を逃がすことで事故を防いでいます。また、天候が悪いときには給油を一時中断するなど、安全が最優先です。
このように、飛行機が安全に飛べるのは、サービサーや地下タンクを使った給油システムのおかげなのです。次に飛行機に乗るとき、窓の外の給油車にも注目してみるのも面白いかもしれませんね。ちなみに長距離国際線の場合、給油時間は1時間以上かかります。給油も大変な作業ですね。