「え、また駅?」「さっき止まったばかりじゃない?」
飯田線に乗ったことがある人なら、一度はそんなふうに感じたことがあるかもしれません。駅と駅の距離がやたら短い――これが飯田線最大の特徴の一つです。
では、なぜ飯田線はこんなにも駅間が短いのでしょうか?
この記事ではその理由と、飯田線の歴史や人気の秘密まで、やさしく、でもしっかりと解説していきます。
飯田線ってどんな路線?
飯田線(いいだせん)は、愛知県豊橋市の「豊橋駅」から、長野県辰野町の「辰野駅」までを結ぶ鉄道路線で、全長は約195.7kmにもおよびます。JR東海が運行しており、山々に囲まれた風光明媚な路線としても知られています。
途中には、山間部を走るローカル線ならではの絶景や、天竜川に沿った渓谷美、さらには昔ながらの小さな駅舎も点在していて、鉄道ファンや旅好きの間で人気を集めています。
なぜこんなに駅が多い?その理由は“私鉄の集合体”
飯田線の駅間が短い最大の理由――
それは、もともと複数の私鉄がバラバラに敷いた路線が、あとで一つにまとめられたからなんです。
昭和初期の日本では、今のように大手のJRが全国を網羅していたわけではなく、地域ごとにたくさんの地方私鉄が存在していました。飯田線の前身は、以下のような複数の私鉄路線でした:
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豊川鉄道(豊橋〜長篠)
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鳳来寺鉄道(長篠〜三河川合)
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三信鉄道(三河川合〜天竜峡)
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伊那電気鉄道(天竜峡〜辰野)
これらの私鉄は、それぞれの地域住民の交通を支えるためにできるだけ駅を近くに設ける方針で線路を敷いていました。なぜなら、徒歩や自転車が主な移動手段だった時代、**「駅が遠いと意味がない」**という考えが強かったからです。
その結果、飯田線の多くの区間では、駅と駅の距離が1km以下という区間も珍しくありません。現在の感覚からすると「やりすぎ」かもしれませんが、当時の人々にとっては必要なことだったのです。
駅が多いって、実は楽しい!
「駅が多い=面倒」なんて思っていませんか? 実はそれ、飯田線の“おいしいところ”を見落としているかもしれません。
たとえば…
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秘境駅めぐりができる!
飯田線には「小和田駅」「田本駅」など、車でアクセスが難しい駅がいくつもあります。まるで冒険のような感覚で、駅を巡る旅が楽しめます。 -
写真スポットがたくさん!
駅が多いということは、それだけ景色の違う場所が連続するということ。鉄道写真を撮るには絶好のポイントが随所にあります。 -
昔の日本が息づいている
一つひとつの駅には、地元の暮らしの息吹や、昭和の風情が残っていることも。まるでタイムスリップしたかのような体験ができるでしょう。
飯田線が今でも愛される理由
飯田線は「駅間が短い」「本数が少ない」「時間がかかる」など、いわゆる“非効率”とも思える特徴を持っています。でも、それが逆に人々の心を引きつけてやまない魅力なのです。
特に最近では、以下の理由で人気が高まっています:
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“秘境駅ブーム”の火付け役として知られる
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鉄道YouTuberや旅行ブロガーによる紹介が増えた
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「乗り鉄」「撮り鉄」から絶大な支持を得ている
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「一日かけてのんびり旅」が求められるようになった
飯田線の駅間の短さは、歴史の証人
飯田線の駅が多く、駅間が短いのは、時代を支えてきた鉄道の歴史そのものを表しています。
それは、かつてこの地域で暮らしていた人たちの“足”として欠かせない存在だったこと。
そして、今でもその面影を残す貴重な路線であることを意味しています。
次に飯田線に乗るときは、「どうしてこんなに駅があるんだろう」と思うのではなく、「この駅にも誰かの思い出があるんだろうな」と感じてみてください。
そうすれば、飯田線はただの移動手段ではなく、一つの物語のように楽しめる路線になるはずです。
まとめ:飯田線は“駅が多いから面白い”
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飯田線は元・私鉄の集合体で、駅間が短くなったのは地域に密着した鉄道だったから。
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駅が多いことで秘境駅や風景の変化を楽しめる。
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時代背景を知ると、駅の多さにも納得。
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飯田線は「ゆっくり旅したい人」にぴったりのローカル線。