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火山の噴火によって、政治不安が起きたことがあるの?

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桜島

ここ数か月、軽石の問題がメディアによって伝えられています。皆さんもご存知の通り海底火山(福徳岡ノ場)の噴火によって出てきた噴出物(軽石)が沖縄にたどり着き海面を覆ってしまいました。軽石が海水面を覆うことで、船舶の航行が出来なくなったり、魚が軽石をエサと間違えて飲み込んで死んだり、景観が悪くなったりと、多くの影響を与えています。

 

軽石に見舞われた方々はさぞご苦労があったことでしょう。しかし200年以上前に遠い地で起きた火山は世界各国に多くの影響をもたらしました。どんな影響でしょうか。

 

アイスランドという国をご存知でしょうか。私達にはあまり馴染みの無い国かもしれません。名前からいって寒そうな国だなということは分かります。北ヨーロッパの北大西洋上に位置する島国でイギリスの北西にある島で、この国は多くの火山が存在するため、たびたび大規模な噴火をしています。

 

例えば、2010年に起こったエイヤフィヤトラヨークトルでの噴火では、ヨーロッパでの航空機での移動や航空貨物の輸送を数週間麻痺させています。当時は連日報道されていましたので記憶されている方も多いのではないでしょうか。第二次世界大戦以後の航空運行の混乱としては最もひどい状況を引き起こしています。

 

しかし1783年に起きた噴火の影響は日本にまで及びます。アイスランド南部にあるラキ火山で大規模な噴火した結果、大量の溶岩が周辺に流出したほか、二酸化硫黄などの硫黄酸化物やフッ素化合物が噴出して、ヨーロッパ一帯に滞留しました。アイスランドだけでなくヨーロッパの多くの地域で家畜が大量死し、農地は壊滅状態となりました。その結果、飢餓などで9,000人以上が死亡しています。

 

その後も影響は続きます。噴煙は高度15kmにまで達し、空を覆いました。噴煙によって太陽の熱が遮られた結果、北半球全体の気温が下がり、数年にわたって世界規模で低温・多雨などの異常気象が発生させています。

 

当時の日本は、アイスランドで大規模な噴火が起こっていることなど知る由もなく生活を営んでいましたが、日本は北半球にありますのでアイスランドの噴火の影響を被ることになります。実はこの年、日本でも浅間山が噴火し、多くの被害を出しています。ラキ山と浅間山のダブル噴火により冷害が起こり、天明の大飢饉に見舞われました。これは日本最大の飢饉と言われています。

 

アメリカにおいても寒波が発生し、ミシシッピ川が凍った結果メキシコ湾に氷が浮かぶという現象が起きています。フランスでは他の要因と相まって食糧不足が数年に渡って続きました。その結果、貧困と飢餓が激しくなりフランス革命が起きる事態となったのです。フランスの貴族たちは、まさか遠いアイスランドの噴火によって革命が起きるとは思ってもみなかったことでしょう。

 

このように噴火というのは、火山灰や土石流などの直接的なダメージを与えるだけでなく、間接的にも大きな打撃を与えるものとなっているのです。

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