貴殿のふとした疑問に答えるブログ

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エジプトのスエズ運河が出来たのが画期的だった理由とは?

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スエズ運河

運河とは、水利、灌漑、排水、給水、船舶の航行などのために、陸地を掘って造られた人工的な水路のことです。ヨーロッパではローマ帝国の時代から主要な交通施設になっていました。しかし鉄道や車などの交通体系が発達していった結果、運河は人々の生活から少しづつ離れていきます。それでも今なお重要視されている運河があります。その一つがスエズ運河です。

 

スエズ運河は、地中海と紅海をスエズ地峡で結び、アフリカとアジアを分断するエジプトの人工海面水路です。スエズ運河は、砂漠を一直線に掘って造られました。この運河の完成によって世界の航海ルートは大きく変化していきます。

 

スエズ運河が出来るまではヨーロッパからアジアに行くまでアフリカ大陸をぐるりと回らなければなりませんでした。アガラス岬(アフリカ大陸の最南端)を経由するとかなりの距離を航行しなければならなくなります。しかしスエズ運河を通れば、距離にして5,300km、航行日数は24日間も短縮されます。船のスピードはゆっくりなため、24日の短縮は大きいですね。

 

スエズ運河を通る際には10~15隻ずつの船団を組んで、縦一列になって進んでいきます。なぜなら、運河内は単線区間が多く、双方向がすれ違える場所が5か所しかないからです。鉄道で言えば単線区間を走行し、駅で反対から来る列車と行き違いをする感じですね。しかし2015年には既存の全長164キロメートルの運河に並行する新しい35キロメートルの運河と、既存の運河のうち37キロメートルに渡る区間の掘削と拡張が行なわれ、船の待ち時間が11時間から3時間に減り、地中海から紅海への通過時間は、18時間から11時間に減少することになりました。

 

この運河を通るのにいくらくらいかかるのでしょうか。船の大きさ、重さ、リスクにもよりますが、1船あたり平均4,000万円の通行量がかかります。通行料はエジプト政府の貴重な外貨収入になっています。最近、エジプト政府はスエズ運河の通行料を6%値上げすると公表しています。船会社にとって値上げは厳しいですが、しかしアフリカ大陸を回るより時間のロスが少なくなるのも事実です。

 

1869年にスエズ運河は開通しましたが、当初は平均48時間もかけて運河を通過していたようですので、今では11時間になっているということで、かなりの時間短縮になっています。船舶は飛行機のように陸地を飛び越えることは出来ません。そのため高い通行料を払ってでも、抜け道である運河を通らなければならないのです。それでも、アラビア海から地中海に行けるのはすごいことなのです。

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