月の引力によって満ち潮に引き潮を交互に繰り返していきます。潮の流れができる要因は、海流、潮の干満、風、地形などが関係していますが、潮の流れが早いところはどこなのでしょうか。
世界で一番潮の流れが速い場所はノルウェー北西岸にあるロフォーテン諸島間で、速さは28キロ前後です。自転車だとかなり頑張って漕がないといけない速さです。
次に早い場所は、カナダ西岸のセイモア・ナローで、こちらも28キロ前後でロフォーテン諸島間とほぼ同じ速さです。
3位は日本で鳴門海峡です。兵庫県にある淡路島と徳島県鳴門市の間にあります、約20キロの速さです。1位と2位に比べると少し遅く感じるかもしれませんが、鳴門海峡の凄さは速さではなく渦潮です。「鳴門の渦潮」皆さんも耳にしたことがあるのではないでしょうか。渦潮の直径が20メートルにもなり、これが世界一になります。2位がノルウェーのサルトストラメン街の海峡で直径10メートルなので、それを考えるといかに大きな渦潮かが分かります。
渦潮は、まさしく渦を巻いています。竜巻が海の中に発生しているようなものです。春と秋の大潮の時が一番大きいな渦を見ることができます。1日の間では干潮と満潮の時に見ることができます。なぜ渦潮が発生するのでしょうか。
海は月の引力により水の高さが変わります。最も高いのが満潮で、低いのが干潮です。通常6時間の周期で満潮と干潮を繰り返しますが、鳴門海峡では海峡を挟んで満潮と干潮が隣り合わせに存在するという不思議な現象が生まれているのです。どういう事でしょうか。
太平洋側が満潮になると、潮は徐々に瀬戸内海へと流れ込んでいきます。この時、淡路島が潮の行く手を阻むため大部分の潮は大きく遠回りをすることになります。紀州水道→紀淡海峡(和歌山と淡路島の間)→大阪湾→明石海峡→播磨灘→最後に鳴門海峡にたどり着きます。播磨灘はおよそ5時間も遅れて満潮になります。するとそのころにはすでに太平洋側は干潮へと変化しています。
鳴門海峡を挟んで隣り合わせに存在する満潮と干潮その高低差は最大1.5メートルにもなります。当然、海水は低い干潮側に一気に流れ込んでいきます。北(播磨灘)から南(紀伊水道)に流れ込む感じですね。
そして、鳴門海峡の幅がとても狭く、1.3キロしかありません。ここを海水が一気に通り抜けようとすると強い圧力がかかり、潮は勢いを増していきます。それゆえ、時速20キロという日本で最も速い潮の流れが生まれるのです。この時に中央部を流れる速い流れと陸地側の遅い流れとの速度差で回転力が生まれます。これが渦潮になるのです。干潮と満潮が入れ替われば、潮が南(紀伊水道)から北(播磨灘)に流れ込み、海峡の反対側に渦潮が生まれます。潮の速さや渦潮は鳴門海峡の地形が大きく関係しているんですね。