皆さんはペリーと聞くと誰を思い浮かべますか。おそらくマシュー・ペリー提督でしょう。歴史の教科書にも登場しますよね。江戸時代末期に艦隊を率いて鎖国をしていた日本に開港を迫った人物です。黒船のペリーです。日本では超有名人ですが、彼の生まれ故郷であるアメリカではあまり有名ではありません。なぜならもっと有名なペリーがいたからです。どういう事でしょうか。
もう一人のペリーとはオリバー・ハザード・ペリーといいます。アメリカ海軍の英雄として知られる軍人で、マシュー・ペリーのお兄さんにあたります。13歳でアメリカ海軍に入り、さまざまな戦いに転戦しましたが、彼を有名にした戦いがエリー湖（アメリカ５湖の一つ）の湖戦です。
1812年に米英戦争が勃発すると、ペリーはエリー湖でイギリス艦隊と対峙しました。普通、相手の船を沈めれば勝利になるわけですが、彼はイギリス軍の敵艦を1隻も沈めることなく全て拿捕するという偉業を成し遂げ、エリー湖の戦いにおけるアメリカ海軍の勝利に大きく貢献しました。のちに「エリー湖の英雄」と呼ばれるようになりました。
この勝利により、アメリカはエリー湖とその周辺地域を支配することができ、カナダへの侵攻を可能にしました。ペリーはこの戦闘後に有名な言葉「我々は敵と遭遇し、そして彼らを拿捕した」（We have met the enemy and they are ours）という報告を送っています。
オリバー・ハザード・ペリーはエリー湖の戦いで英雄となりましたが、その後も海軍で活躍しました。1814年には大佐に昇進し、南米や地中海での任務に就きました。1819年にはアフリカ沿岸で奴隷貿易を阻止するための巡航を行いました。しかし、その途中で黄熱病に感染し、1819年8月23日にトリニダード島で死亡しました。このとき彼は34歳でした。
オリバー・ハザード・ペリーはアメリカの海軍史上最も有名な人物の一人で、彼の名前は多くの場所や物に付けられています。例えば、オハイオ州エリー湖には記念碑が建てられましたし、ペンシルバニア州にはペリー郡という地名も付けられました。また、彼の肖像画はアメリカ海軍士官学校や議会図書館などに飾られています。25セント硬貨の記念硬貨にも描かれています。さらに、彼の名前を冠した艦船も何隻か建造されています。
似たような形をした船に「〇〇級」という名前が付けられるのですが、海軍の英雄ということもあって、オリバー・ハザード・ペリー級ミサイルフリゲートという海軍の船51隻に自分の名前が付けられています。
このように、オリバー・ハザード・ペリーはアメリカの歴史や文化に大きな影響を与えた人物です。日本ではマシュー・ペリーが有名ですが、アメリカではオリバー・ハザード・ペリーの方が有名で、世界的に見てもお兄さんの方が知られています。
