「グリニッジ子午線(しごせん)」どこかで聞いたことがある名前だと思います。イギリスのロンドン郊外にあるグリニッジ天文台を通っている子午線のことです。子午線と聞いても分からないかもしれません。子午線とは、赤道に直角に交差するように北極と南極を結んでいる線です。南北線とも呼ばれています。
「子午線」なんだか分かりずらい名前ですが、十二支で表すと、真北が「子(ね、し)」、真南が「午(うま、ご)」なので、その漢字をとって子午線という名前になったのです。ということは、子午線に直角に交差する線は「卯酉線(ぼうゆうせん)」になります。真東は「卯(うさぎ)」で、真西が「酉(とり)」なのでこの名前になっています。つまり東西線です。南北線と東西線と聞くと鉄道をイメージしてしまいますね。
グリニッジ天文台を通る子午線(南北線)は経度の基準地点になっていますので、経度0度になります(少しずれているそうですが…)。しかし、なぜイギリスが基準になっているのでしょうか。
19世紀、イギリスだけでなくフランスやスペイン、米国などの主要国はそれぞれの経度測定法を発見し、航海に役立てていました。しかしその頃になると、自国だけでなく他国との往来も増えたため、統一基準が必要となっていました。
つまり場所(経度の違い)によって時差があることなどが分かり、経度と時間をどのように他国と共有するかが問題になっていったのです。そのため1884年にワシントンで国際子午線会議が開かれます。25ヵ国が出席し、イギリスのロンドン郊外にあるグリニッジ天文台を通る子午線を経度の基本とすることが決まったのです。
グリニッジが選ばれた理由は、イギリスが政治的に安定していたこと。また、グリニッジ天文台という大一級の天文台があったからでした。それまでは、各国がばらばらに経度と時刻を用いていましたが、基準子午線が決まったことで、交通や通信の混乱がなくなったのです。
地球は一周360度で、太陽は24時間で一周します。計算式にすると、360度÷24時間=15度になります。つまり、経度差15度おきに1時間の時差が発生することになるのです。ちなみに日本の子午線は兵庫県明石市を通っていて、東経135度子午線上にあります。日本標準時はグリニッジ標準時よりも9時間進んでいることになります。
日本の地図を見ると分かりますが、明石(東経135度)は日本の真ん中あたりにあり、北海道の根室あたりだと東経145度、沖縄県の石垣島あたりだと東経125度で、根室と石垣島では20度の差があります。つまり根室と石垣島では時差が1時間以上あることになるのです。だからといって日本の中で時差を設けると、何かと面倒になってしまうので「明石一本でいきましょう!」ということになったのです。今回は、グリニッジ子午線と日本の時差について簡単に考えました。