貴殿のふとした疑問に答えるブログ

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サウジアラビア:石油経済の舞台裏と水の課題

サウジアラビアと聞いて思い浮かべるものはなんでしょうか。おそらく中東、イスラム教、大富豪、石油あたりではないでしょうか。確かにどれも当たっています。中東には様々な国がありますが、その中でもサウジアラビアは盟主とも呼ばれていて、アラビア半島の4分の3を占めている大国でもあります。あまりなじみの無い国ではありますが、とても興味深い国でもあります。

サウジアラビアの国土のほとんどが砂漠です。一見何も無さそうですが、1938年にペルシャ湾で油田が発見されたのを機に多くの富を得ることができました。世界の石油埋蔵量の約20%はサウジアラビアにあると言われています。輸出量・産出量ともにトップクラスです。ですから石油価格を決めているOPEC(石油輸出機構)においても大きな発言力を持っています。

 

石油が出たことによってサウジアラビアの国家財政の約9割が石油関連収入で占められています。言い換えれば、石油が出続ける限り、また石油の需要がある限り国家財政は安泰というわけです。石油による経済力は凄まじく、公立であれば小学校から大学まで授業料は無償で受けることができます。

 

しかし欧州を中心に世界的には温室効果ガスを出す石油由来のものを避ける傾向が強まっていますので、今後石油だけに頼るのは心もとないともいえます。今まで石油に頼っていたため、さほど産業を生み出してきませんでした。今は急ピッチに国の産業を開発しているところです。これは他の中東諸国も同様ですね。

 

あともう一つの懸念としては、石油はたくさん出るのに、水はあまりありません。それもそのはずで、国土の大半が砂漠のため、水の確保がとても困難なのです。生活用水を地下水だけでは賄うことができず、どんどん地下水を汲み上げてしまったことで水位が低下し、地盤沈下をもたらしています。

 

では水を得るためにどうしているかというと、莫大な投資をして海水を淡水に変えられるようにしています。そうでもしないと国民に飲み水を賄うことができないのです。中東は石油を燃やして海水を蒸留して淡水を作って利用していた時期がありました。ですから、石油より水のほうが高いなんて言われていたのです。

 

日本は人口減少が続いていますが、世界的に見たら人口は増え続けています。そのため水の需要は今後も増え続けていくことでしょう。「水道の蛇口をひねれば水がでる」日本人はそう思っていますが、砂漠地帯や島しょ部では当たり前のことではないのです。ちなみに沖縄でも地下水が足りないので海水を淡水にしているところもあります。今回は中東の盟主であるサウジアラビアにスポットを当てて、石油と水について考えていきました。

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