戦後の日本では食糧不足だったこともあり、庭でニワトリを飼っていた家庭が多かったと聞きます。現在ではニワトリを飼う家庭は少ないですが、貧しい国では依然としてニワトリを飼っている地域はあります。以前私が住んでいたドミニカ共和国でも隣の家でニワトリが放し飼いにされていました。では、今回は貧しい地域でニワトリを飼う理由について考えてみたいと思います。
貧困層の方々にとって、食料の確保は大きな課題です。しかし、ニワトリを飼うことで新鮮な卵を手に入れることができます。卵は栄養価が高く、多くの家庭料理に利用できます。ニワトリの飼育は比較的低コストで行えるため、貧困層の方々にとって経済的な負担も少なくなります。また、雄のニワトリは鶏肉としても食すことが可能です。卵にしても鶏肉にしても、良質なたんぱく質を摂取できることは貧しい地域において貴重なものです。
では、ニワトリを飼うことはどのくらいのコストがかかるのでしょうか。ヒヨコは200~500円程度で販売されています。この時点だと雄か雌か分かり辛いので、卵を産める大きさになったニワトリを飼うのが良いでしょう。もしヒヨコから飼ったとしても、120~150日で卵を産み始めることができます。卵を産めるくらいまで育った商用種のニワトリであれば2000円位で購入できます。日本でこのくらいの値段なら貧しい地域であればもっと安く仕入れられるでしょう。
ニワトリは飛べませんし、どこか遠くまで行ってしまうことは考えられませんので、捕食する動物がいなければ、自宅の庭に放し飼いしていてもさほど問題はありません。エサもそこらへんに生えている雑草や虫などついばんでいました。飼料代もかからないのが良いですね。
大きさも家畜の中では小さい動物のため、女性や子供でも扱いやすいのが良いところです。牛や豚となると抱えることができませんが、ニワトリであれば腕に抱えて持つことができますし、くちばしで突っつかれても死ぬことはありません。
つまり、ニワトリを庭に放置しておけば雌であれば卵を産み、雄であれば鶏肉になるということです。日本だったら、飼育ゲージや飼料などコストをかけますが、貧しい国では放し飼いでも十分なのです。自分たちが生きていくために育てていますので、そこにお金をかけなくてもよいということです。ニワトリは家畜として優秀な動物なんですね。