アメリカの農産物は、日本と比べて非常に安いという印象がありますが、その理由は何でしょうか。アメリカは世界有数の農業大国であり、多くの農産物や畜産物を大量に生産し、世界中に輸出しています。その中でもトウモロコシや大豆、牛肉、鶏肉などの生産量は世界第1位を誇ります。
では、なぜアメリカはそんなに多くの農産物を安い価格で提供できるのでしょうか。それは農地の大規模化と機械化による合理的な方法をとっているからです。
アメリカは国土が広く、気候も多様です。そのため、気候の特徴に適した農産物を集中的に生産することで、効率を上げています。例えば、「コーンベルト」と呼ばれる五大湖南の地域ではトウモロコシ、「コットンベルト」と呼ばれる北緯37度以南では綿花というように、適材適所で生産しています。
また、アメリカでは精密農業といわれる、精密なGPS情報を活用した大型農機やドローンの自動操縦などの技術が発展しています。これらの技術によって、広大な農地に一律に肥料や農薬を散布することで、均一な品質の大量生産が可能となります。また、少ない人手で高い生産性を実現することで、人件費の大幅な削減も可能となっています。
近年では農地の大規模化が進んでいます。2017年時点で、1農業経営体当たりの平均農地面積は442エーカー(約178.5ヘクタール)であり、日本の平均(約2.4ヘクタール)と比べると約74倍もあります。このような大規模な農地を効率的に管理するために、機械化が徹底されています。このようにアメリカでは1つの品種を大量に生産することができるのです。
一方、日本では小規模な家族経営の農場が多く、米や野菜などを多品目に生産しています。多品目に生産する理由としては、農地に適した平地が少ないことが挙げられます。山が多い国なので、斜面や狭小地でも農業が行う必要がありますし、日本の気候も多様性に富んでいますので、地域ごとに豊かな品種の作物を生産してきたのです。
最後に広さの違いについて見てみましょう。ここで言う広さとは、国土面積や耕地面積などを指します。アメリカは世界第3位の国土面積を持ち、約9600万平方キロメートルです。一方、日本は世界第61位の国土面積を持ち、約38万平方キロメートルでで、アメリカは日本の約250倍も広い国なんです。
そして耕地面積という点では、アメリカは国土面積の約18%が耕地として利用されており、約1700万平方キロメートルあります。一方、日本では、国土面積の約12%が耕地として利用されており、約46万平方キロメートルです。つまり、アメリカは日本の約370倍も耕地が多い国なのです。ですからアメリカはたくさんの農作物を作れるんですね。
アメリカは大規模で単一的な農業を行っており、日本は小規模で多様的な農業を行っています。やはりアメリカのように大規模農業が行えると価格は下がりますね。しかし多品種で質の良い農作物という点では日本の農作物に軍配が上がるようです。