貴殿のふとした疑問に答えるブログ

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日本に初めてキリンを持ってきて大手柄なのに、なぜ園長はクビになったのか?

動物園に行くとキリンを見る機会があります。他の動物とは違い、キリンの大きさというか、あまりの首の長さに驚きますね。今でこそ日本各地にある動物園でキリンの姿を見ることができますが、もともと日本にいる動物ではないので昔は見ることができませんでした。

 

日本の動物園で初めてキリンを見ることができたのは1907年(明治40年)のことです。ドイツのハーゲンベック動物園から上野動物園に輸入されてきたのです。当時は写真でもキリンの姿を見るのが難しい時代でしたので、動物園には大勢の見物客が押し寄せて、空前のキリンブームが始まったのです。しかしその裏で、キリンの輸入に成功した石川園長のクビが切られてしまいました。なんでそんなことになったのでしょうか。

 

その理由は、無断でキリンを購入したからです。当時の上野動物園の園長は動物学者でもある石川千代松という人で、石川園長はドイツの動物商から8,000円でキリンの購入を持ち掛けられました。動物園で公開する4か月前の出来事です。返事は早い方が良いと考えた石川園長は即決で購入する旨を伝えました。

 

その当時、動物の購入の年間予算は約2,000円でした。ですから8,000円のキリンは年間予算の4倍にあたり、高額なキリンを相談なしに独断で購入することはあってはならないことでした。石川園長としては、まず購入の旨を動物商に伝え、そのあと宮内省と相談してから動物商と金額の交渉するつもりだったようです。

 

しかし、石川園長が購入することを伝えてしまったため、動物商はさっそくキリンを船便で送ってしまいました。石川園長はそのことを聞いて驚いてしまいましたが、断ろうにもすでにキリンは海の上にいます。月日は経ちキリンは無事に横浜港に到着してしまいました。

 

園長は何を思ったかキリンをこっそり運ぼうとしましたが、キリンは首が長く簡単には運べません。どうしたのでしょうか。最初は鉄道の屋根のない貨車で運ぼうと思ったのですが、首がトンネルや陸橋にぶつけてしまう恐れがあり、予定を変更して船で東京湾を経由して隅田川を上り、日本橋浜町から上野動物園まで大八車(だいはちぐるま)で運びました。しかしキリンを大八車で運んだため沿道で見つかり、大騒ぎとなりました。

 

無事に上野動物園に到着し一般公開されたものの、何も聞いていなかった宮内省は激怒。勝手に購入してしまった石川園長は責任を取ってクビになってしまったのです。

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