太平洋上に浮かぶハワイ諸島は、その美しいビーチや常夏の島として知られ、多くの日本人観光客が訪れています。日本人にとって特に親しみやすい存在でもあり、外国語へのコンプレックスを抱く日本人にとっては、「とりあえず日本語の通じる外国」として安心して訪れることができる場所で、その自然の美しさにも魅了されることでしょう。しかしその価値は、単なる観光地に留まりません。
地政学的な観点から見ると、ハワイは太平洋全域、地球全体、そして宇宙を見渡す上で極めて重要な位置にあります。ハワイ諸島は、もっとも近い陸地から3000km以上も離れた絶海の孤島でもあり、これは世界を見てもハワイ諸島しかありません。アメリカ、中国、日本などの大国がある太平洋上の中心にあるのがハワイなのです。
さらに、ハワイはアメリカ合衆国軍においても重要な拠点となっています。アメリカには9つの統合軍が存在していますが、アメリカインド太平洋軍の最大規模の総司令部がハワイに置かれており、太平洋とインド洋の広大なエリアを受け持っています。地政学的な視点から見ると、太平洋地域全体の安全保障において不可欠な存在となっています。
加えて、太平洋津波警報センターや気象を観測しているマウナロア観測所、火山観測所など、科学的な観点からもハワイは注目すべき存在です。太平洋津波警報センターは環太平洋地域の津波に対する二十四時間監視と情報提供を行い、マウナロア観測所は温室効果ガスの長期的な観測を担当しています。同時に、ハワイは日本の国立天文台の観測所の一環として、宇宙を観測するために活用されています。すばる望遠鏡などを通じて、宇宙の謎を解明するための研究が進められています。
ハワイと聞くとワイキキのビーチなどリゾートのイメージがありますが、ハワイ諸島の魅力は観光だけでなく、地政学や科学の分野でも大きな存在感を示しています。太平洋上に浮かぶ小さな島々ではありますが、この美しい楽園が持つ多面的な価値を深く理解することで、ハワイの重要性をより一層認識できるにちがいありません。