ちょっとした疑問に答えるブログ

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なんで、学校の校庭には桜が咲いているの?

学校の入学式で写真を撮ると、だいたい桜の木が写っています。それもそのはずで、多くの学校では校庭に桜の木が植えられているからです。でもいつから校庭に桜が植えられるようになったのでしょうか。

 

それは、明治時代になってからのことです。明治政府は教育政策の基礎を国学に求めました。国学とは、江戸中期以後盛んになった日本の古典研究の学問のことです。それまでは儒学や仏教の教えが一般的でしたが、『万葉集』『源氏物語』『古事記』などの古典研究を通して、今の社会のあり方より昔の方が良いよね、という考えが広まっていったのです。それによって神道が発達し、尊王思想が強まっていきました。

 

江戸時代の国学者・本居宣長が詠んだ「敷島の大和心を人問はば 朝日ににほふ山桜花」という歌が広く親しまれるようになり、この歌の影響もあって桜はいつしか日本精神を象徴する花となっていきました。加えて軍部は、パッと咲いてパッと散る桜の姿を、いさぎよく散る軍人のイメージと重ね合わせ、日本帝国軍人の象徴としたのです。

 

明治時代には日清・日露戦争という大きな戦いがありましたが、戦争を勝利したことによって軍部の力が強まると、子供たちにも軍人精神を教え込む教育が盛んになりました。その一環として、まずは各地の陸軍兵舎に桜が植えられ、さらに、学校にも桜が植えられるようになり、入学式で門出を祝うかのように咲き乱れるようになりました。このように、校庭の桜は、明治時代以降、日本の教育と深く結びついてきたのです。

 

一見、桜の木を見ると戦争とは無縁な木に見えますが、実際は軍の方針によって日本全国の学校に植えられてきたのです。でも、今となっては経緯を知る必要もなく、「ピンクの花びらがきれいだね」とか「桜の下で写真撮ろう」などと言っている姿は平和な感じがしていいですよね。また、ソメイヨシノは入学式のころに咲く花ですので、入学式に華(花)を添える意味でも重宝されていきました。

 

日本人にとって馴染みのある桜ですが、日本の国花なのでしょうか。その通りで、桜は国花です。しかし、菊も日本の国花なのです。つまり桜と菊の2つが国花となります。ちなみに皇室やパスポートに載っている紋章は菊になります。桜の紋章は自衛隊が使っています。

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