ブタは世界中で家畜として飼われており、多くの国で食べられています。ブヒブヒ鳴いて獰猛なイメージは無いでしょう。むしろブタに似ているイノシシの方が狂暴に感じます。しかし、時に大人しいブタが暴走する時があります。
2014年に中国江蘇省において、2歳児がブタに襲われて噛み殺されるというショッキングな事件がありました。ブタの体内からは、男児の毛髪や頭蓋骨の一部などが出てきたようです。また、2019年のロシアでは、発作を起こして倒れてしまった女性がブタに食べられてしまうという事件も起きています。普段は大人しくても何かの拍子で狂暴化してしまうことがあるようです。
ブタは古代から食されてきました。ということは、現代だけでなく昔もブタによる被害があることは容易に想像できます。中世ヨーロッパでは、豚が人間を襲っただけでなく、襲ったブタを裁判にかけることも行われています。なにがあったのでしょうか。
現在のフランスがあるノルマンディー地方で悲劇が起きました。記録によれば、1408年に母ブタと6頭の子ブタが子供を襲って殺してしまいました。普通であれば、すぐに殺処分されそうですが、訴えられた7頭のブタは、すぐに捕縛して牢屋に入れてしまいました。そして裁判で裁かれることになります。
この裁判では、事故の目撃証人が集められ、ブタには弁護士も付き、人間さながらの本格的な裁判が行われました。では、判決はどうだったのでしょうか。
子ブタたちには「将来が有るため」という理由で執行猶予が付くことになります。日本の少年法みたいな感じがしますね。対して母ブタはどうなったかというと、殺人罪が言い渡されます。子供を襲った主犯と見られたようです。殺人罪が言われた結果、絞首刑が執行されることになりました。ブタは人間よりも重いので、絞首刑にするにも大変な作業だったに違いありません。
中世ヨーロッパでは、奇妙な動物裁判がたびたび行なわれてきました。作物を荒らしたネズミ、虫、ロバ、牛などが裁判にかけられています。いたって真面目に裁判が行われていますので、当事者たちは「何かがおかしい…」とは思わなかったのでしょう。動物の権利にも気を付けるあたり、さすがはヨーロッパって感じがしますね。