皆さんは南米チリと聞いたら何を思い浮かべますか。おそらく国の長さではないでしょうか。北から南までの総延長は約4,300キロメートルに及ぶ細長い国です。あと有名なのがモアイ像のあるイースター島です。特産品としてはサーモンやワインが有名です。日本のスーパーでもよく見かけますよね。今回はチリのワインについて考えます。
チリの農林水産物の輸出第一位はワインです。日本でもチリ産ワインは人気ですね。ワイン生産大国だと思われがちですが、実は世界のワイン生産の3%に過ぎません。上位はフランス、イタリア、スペイン、アメリカが占めています。チリ産ワインは1990年以降に急速に発達していきました。意外と新しいワインですが、チリのワインは高品質ゆえに世界中で愛飲されています。日本の皇室でも、園遊会などでチリ産のワインが用いられるといいますので、味は折り紙付きですね。
南米と聞くと暑いイメージを持つかもしれませんが、チリはアンデス山脈に沿っていますので、寒い地域もたくさんあります。でも細長い国なので場所によって気候はまちまちです。その中でもチリのワインはおおむね緯度が南緯32度から38度の間で作られています。そこ(チリの中央部)の気候は地中海性気候です。
地中海性気候といえばヨーロッパ南部が該当します。フランス、イタリア、スペインの地中海沿いと同じ気候です。この気候はブドウ栽培には最適な環境で、チリに入植したスペイン人が目を付けないはずがありません。
チリの首都サンティアゴの郊外には見渡す限りブドウ畑が広がっています。この気候であれば小麦やオリーブ、オレンジやレモンなども作れますが、なによりもワインの生産を第一にしたのですね。
19世紀末には、世界中でブドウの大害虫フィロキセラが流行しました。世界中のブドウが全滅しかけましたが、チリのブドウだけは生き延びました。アンデス山脈と太平洋に挟まれた狭い特殊な地形がブドウを守ったと言われています。ヨーロッパで脈々と受け継がれてきたブドウがチリで生き延びることになったのです。
スーパーやコンビニでは「アルパカ」のラベルが付いたワインを含め、チリ産のワインがたくさん売られています。安い上に味も美味しいので人気がでるのは当然です。また、カルメネール種というブドウの栽培をチリは行なっていますが、酸味も控えめで、口当たりがよくいため、渋みの強い赤ワインが苦手な方でも飲みやすいのが特徴です。他の国のワインと飲み比べるのも面白いかもしれませんね。