写真:wikipedia参照
テレビを付けると新型コロナウイルスの話題がほとんどですが、ネット上ではちらほら見かけるようになった話題として、サバクトビバッタによる蝗害(こうがい)があります。蝗害とは、大量発生したバッタによって農作物が食べられてしまうなどの災害を指します。
日本ではさほど話題にはなっていませんが、発生源のアフリカ東部の国々や中東諸国やインドなどでは大問題となっています。サバクトビバッタという名前からも分かりますが、もともと砂漠にいるバッタです。しかしこのバッタが各国で暴れ回っています。国際連合も食糧危機が迫っていると警告しているほどです。しかし、なぜ今サバクトビバッタによる蝗害が発生しているのでしょうか。
写真:FAO(国連食糧農業機関)から引用
このバッタはもともと孤独相(こどくそう)といって、他のバッタと群れることはありません。一匹で生活していきます。雌が卵を産む場所や卵を産んだ後の幼虫が食べていける草が生えている場所や隠れ家になる場所があれば単独で暮らします。しかし今回のように、ある条件が出ると群れるバッタに変化します。
その条件とは、雨が降らずに食べる草が無くなり砂漠化した時です。エサが無いと単独では生きていけないので、エサがある場所に集まり集団化します。孤独相から群生相(ぐんせいそう)化します。この変化を相変異といいます。
群生相になって生まれた幼虫は色も変わります。もとは緑色のバッタが茶色に変わります。まさにスーパーサイヤ人のようですね。ではこの集団化したバッタの何が恐ろしいのでしょうか。
FAO(国連食糧農業機関)によると、このバッタは稲や畑の作物などに限らず、全ての草本類を短時間のうちに食べ尽くしてしまうようで、毎日自分の体重と同じ量の植物を食べます。当然、被害地域の食糧生産はできなくなるため、住民の間に食糧不足や飢饉をもたらしていきます。また、大発生したバッタは大量の卵を産むため、数年連続して発生するのが特徴ともなっています。
そして約4000億匹の群れが、毎日自分の体重と同じ分だけ食べるようです。ですからどんどん移動していかないと餓死してしまいますので転々と移動するのですが、一日に5キロから130キロ移動していきます。これではバッタが通る地域の植物は食べつくされてしまいますよね。多くの国で悲鳴を上げているのです。
地球上の自然環境の変化によって、このような蝗害が発生してしまいました。台風の増加や温暖化だけではないんですね。日本も多くの食料を輸入していますので、引き続きバッタの行方を見守っていきたいです。