貴殿のふとした疑問に答えるブログ

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エアバスA380の将来は明るい? それとも暗い?

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皆さんはエアバスA380をご存知でしょうか?2階建ての世界最大のジェット旅客機になります。千葉に住んでいた時は成田空港に行ってシンガポール航空やタイ航空のA380を見に行ったものです。かっこいいというよりかは大きさゆえに迫力あるボディーと言った方がいいでしょうか。ボーイングB747がほとんど見られなくなった今、A380のような大きな機体に乗るのが好きな人も多いのではないでしょうか?

 

そんなA380ですが、2019年2月にエアバス社のトム・エンダースCEOはA380の生産中止を発表したのです。コロナが発生する前ですね。もともとエアバス社はこの機体を700-750機販売する予定でしたが、確定発注数は251機が現状です。なぜ世界で受け入れられなかったのでしょうか?

 

A380が開発を始めたのは2000年で、その頃の主流は大都市の拠点空港(ハブ空港)の間を大型機で飛び、そこから小型機で各都市に向かうというものでした。2000年当時、長い距離を飛べるのはA380やB747、B777などの大型機だけでしたし、空港の発着枠が限られていたのもあって、エアバスはA380の開発を始めたのです。拠点空港を車輪のハブ、放射状に延びる路線をスポークに見立てて、ハブ&スポークと呼ばれています。自転車のタイヤがこの形ですね。

 

しかしこのハブ&スポークは乗り換えが多くなるという欠点を抱えていました。飛行機好きでない限り、可能であれば直行便を望むはずです。一方エアバス社のライバルであるボーイング社はハブ&スポークではなく、各都市間を直行便で移動するポイントtoポイントが今後の主流になると考え、航続距離の長い中型機B787の開発をスタートさせます。

 

A380はたくさんの人を運ぶことができます。3クラスなら525名、エコノミークラスだけなら853名もの人を乗せられます。しかしその大きさゆえに燃料をたくさん食ってしまいます。また満席にするのがとても難しく、あまり使い勝手がよくありませんでした。

 

また空港もA380に合わせて改修しなければならず、滑走路や誘導路の幅や間隔を広くし、耐荷重を増やすための補強工事が必要になりました。ボーディングブリッヂやスポットもA380に合わせたものにしなければなりませんでした。ですから、就航できる空港も限られてしまいました。成田や関空は大丈夫でも羽田や伊丹では空港側が受け入れられないのでA380が就航していないのです。

 

近年のニーズに合っていなかった機体ですが、コロナの影響で航空需要が大幅に減少するダブルパンチを食らってしまいました。A380を一番多く保有していたエミレーツ航空は去年2機を退役させ、残り115機のうち46機の退役を検討しているとのこと。エールフランスも9機すべてが運行を終了し退役しています。ルフトハンザ航空も14機中7機を退役させる予定です。カタール航空はすべての機体を運行停止していますが、おそらく今後の復帰もないと言っています。6機を保有しているタイ航空はコロナの影響を受けて経営破綻状態になっています。おそらく今後A380を飛ばすことは難しいのではないでしょうか。

 

このようにA380の今後は暗いと言わざるを得ません。いくら人気があってもコストに見合わなければ飛ばし続けるのは難しいでしょう。まだ15年しか経っていないのですが仕方ありません。そう考えると、50年前から今に至るまで飛び続けているB747シリーズの使い勝手はすごいことですね。

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