山崎や山田、山下や山本など苗字に「山」が付くものがたくさんあります。なぜ山が使われているのでしょうか。苗字の大多数は地形を由来としているものが多く、山もそれに該当します。国土地理院によると日本列島における山地の面積は国土の75%を占めているようです。それゆえ昔から山は、人との関わり合いが深いものとなっています。
関東平野や大阪平野など山が無い場所に住んでいれば、山に馴染みが無いかもしれませんが、昔は自分の住んでいる場所から移動することはほとんど出来ませんでした。それゆえ平地に住む人は限られており、必然的に山が身近にある生活が多くの人にとって普通のことでした。苗字も山にちなんだものが多かったのも頷けます。では山が付く苗字にはどんな意味があるのでしょうか。
山田 →山の中にある田んぼ
山本 →山のふもと
山下 →山のふもと
山口 →山の出入り口
山崎 →山の先端、山のはし
山中 →山の中
中山 →中の山、多くの山の中で中心の山を指す
前山 →里から見て手前にある山
奥山 →里から見て奥にある山
横山 →横にある山
西山 →西にある山
東山 →東にある山
立山 →高い山
丸山 →丸い山
杉山 →杉の木が生えている山
大山 →大きい山
小山 →小さい山
このように山と言っても色々な使われ方をしているのが分かります。これらは意味的にも分かりやすいですね。このように地形から苗字がとられているということは、同じ苗字であっても血がつながっているわけではないということが分かります。例えば山田さんの由来は山の中の田んぼです。日本には山の中にある田んぼは幾らでもあります。山田さんがすべて親族ということはあり得ません。
日本の苗字の中には1つの家から広がっていった苗字というものはあります。しかしそれらの苗字は全国に数世帯しかいない珍しい苗字がほとんどです。ですので、山田のような数多い苗字で血がつながっている可能性は0%と言えるでしょう。
今回は「山」の付く苗字について考えてみました。山は食物を採取したり、木を切ってきたりと、人々にとって欠かすことが出来ないものでした。また、山は昔から信仰の対象ともなってきました。それゆえ人々にとってごく身近にある山を苗字の一部にすることに当時の人は抵抗が無かったのでしょう。