貴殿のふとした疑問に答えるブログ

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めっちゃ貴重な香木「蘭奢待」 権力者がちょっとづつ削っていったってホント?

「蘭奢待?どう読むんよ…」と思われた方もいるでしょう。これは香木の一つで「らんじゃたい」と言います。天下第一の名香として長年大切に保管されてきました。その貴重さゆえに時の権力者たちからちょっとづつ削り取られてきた歴史ももっています。一体どんな香木なのでしょうか。

 

日本に仏教が伝来してきたときに一緒にやってきたのが「お香」です。もともとは匂いをかいで香りを楽しむものではなく、仏さまに備えるための仏具でした。浅草にある浅草寺などテレビに映りますが、本堂の前で煙を体に当てているところを見たことがあるのではないでしょうか。体の悪い箇所に煙を当てると治るということですが、もともとは仏さまへの供養のための煙だそうです。

 

冒頭の蘭奢待もお香として使用するために大陸から渡ってきたもので、木片として日本に現存する最古の香材になります。その大きさは、長さ156.0㎝、最大径42.5㎝、重量11.6㎏で、不整形な木材となっています。長さの割に軽いのは内部がほぼ空洞となっているからです。この蘭奢待がいつ伝来してきたかは分かってはいませんが1,000年前あたりに日本にやってきたようです。奈良にある東大寺正倉院に納められています。

写真はWikipediaから参照 蘭奢待

一説によると聖武天皇が「ランジャタイ」と命名したとされ、のちに「蘭奢待」という漢字があてがわれました。この当て字は「東大寺」という言葉を隠してできたとされます。蘭には「東」、奢には「大」、待には「寺」という文字が含まれているのが分かるでしょうか。

 

表題にもありますが、この貴重な香木は時の権力者たちによってちょっとづつ削り取られてきました。1385年に足利義満、1429年に足利義教、1465年に足利義政がそれぞれ切り取っています。他に有名なのが織田信長です。信長はのこぎりを使って約4センチ角を2つ切り取っています。1つは自分用に、もう1つは天皇に送っています。天皇の遺品である蘭奢待を切り取るというのは権力の保持にほかなりません。

 

その後、1877年に明治天皇によって切り取られて以降、蘭奢待はその姿のまま厳重に正倉院にて保管されています。しかしごくまれに一般公開される時もありますので、その際には権力者たちが削り取っていった日本最古の香木を鑑賞してみるのはいかがでしょうか。

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