貴殿のふとした疑問に答えるブログ

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なぜ岐阜県は焼き物が盛んなの? 

美濃焼(織部焼)の湯呑

先日、岐阜県を旅行に行ってきました。有名な観光地は高山市や白川郷ですが、岐阜県は焼き物も有名な県なのです。美濃焼という名前を聞いたことがあると思います。あまり知られていませんが美濃焼は国内の焼き物のシェア率60%と言われるほど、多くの食器や鉢などを生産しています。伝統的なものからキャラクターものまで、そのバリエーションは実に豊富です。それで今回は、なぜ岐阜県は焼き物が盛んなのか考えていきます。

 

美濃焼は東濃地方(美濃国の東)の土岐市、多治見市、瑞浪市、可児市の地域で作られた陶磁器の総称です。美濃焼の中には、志野焼、織部焼、黄瀬戸、瀬戸黒などが含まれます。

 

この東濃地域で焼き物が有名になったのには、自然の要因が大きく関係しています。まず、良質な陶土に恵まれています。特に、土岐市周辺では、火山灰が堆積した粘土質の土壌が広がっており、これが美濃焼の原料となっています。この土壌は、水分を含むと柔らかくなり、成形しやすくなり、高温で焼くと緻密で強度の高い器に仕上がるのです。

 

加えて、窯を作るのに適した地形にも恵まれています。東濃地方は、ゆるやかな丘陵地帯が多く、穴を掘って窯を作ることが容易でした。特に、安土桃山時代には、登り窯と呼ばれる斜面に沿って作られた窯が多く用いられました。登り窯は、下から上へと温度差が生じることで、同じ窯でも様々な表情の器を作ることができたのです。特に土岐市周辺は、古くから陶器作りに適した土地でした。安土桃山時代には、千利休や古田織部といった茶人たちがこの地で美濃焼の黄金期を築き、織部焼や志野焼など、日本の茶陶の代表格がここで生まれたのです。

 

実は東濃地方は陶芸作家の聖地でもあります。全国各地から多くの作家がこの地に移り住み、伝統の美濃焼を現代に受け継いでいます。個性的で自由な作風を追求する作家たちの作品は、美濃焼の多彩さを示していて、織部ヒルズや美濃焼ミュージアムなど、作家作品を見ることができる場所もたくさんあり、焼き物好きにはたまらない地域となっています。

 

以上のように、岐阜県は焼き物がたくさんある理由は、陶土や地形、歴史や文化、技術や経済など、さまざまな要素が絡み合っているからだと言えます。岐阜県の焼き物は日本の文化遺産として誇れるものですし、私たちの生活を彩る素敵なアイテムでもあります。ぜひ一度、岐阜県の焼き物に触れてみるのはいかがでしょうか。焼き物にさほど詳しくない私でも十分楽しめる場所でした。

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