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レール幅の違いが軍事的な問題に関係するの?

先日のニュースを聞いていたら、ウクライナが日本の新幹線システムの導入の検討をしていると報じていました。復興の過程で現在のレール幅を一新し、新幹線のような高速鉄道を走らせる計画のようです。現在のウクライナのレール幅は1520mm(広軌)で、ロシアと同じレール幅となっています。それを日本の新幹線と同じ1435mmにしようとしているのです。

 

ちなみにレール幅とは、鉄道の線路の両側のレールの間隔のことで、世界中にはさまざまなレール幅があります。日本の在来線は1067mm(狭軌)、日本の新幹線やEU圏では1435mm(標準軌)のレール幅を採用しています。ロシアや旧ソビエト連邦諸国では1520mm(広軌)を採用しています。ではレール幅が軍事的な問題に関係するのでしょうか?

 

レール幅の違いは、鉄道を利用した軍事作戦において、大きな障害となります。例えば、第二次世界大戦中にナチス・ドイツがソビエト連邦に侵攻した際、ドイツ軍は自国の標準レール幅(1435mm)とソ連の広軌(1520mm)との違いに苦しめられました。ドイツ軍はソ連領内の線路を改軌するか、貨物や兵員を別の列車に乗り換える必要がありました。これは時間と労力を要し、物資や兵力の輸送を遅らせる原因となりました。

 

同様のことがウクライナにも生じています。ロシアと同じ1520mmだとロシアの鉄道がウクライナにも乗り入れてしまう恐れがあるのです。EU圏は1435mmを採用しているので、1520mmのウクライナから直接EU内には乗り入れができません。鉄道でEUに行くには国境付近で乗り換える必要があるのです。貨物に関しても同じで、積み替える分、時間も費用もかかってしまうのです。

 

ウクライナには黒海がありますので、鉄道ではなく主に船舶を用いて小麦などを輸出しているのです。もし鉄道で輸送するのであれば1520mmから1435mmにしなければなりません。そのため、復興するにあたりロシアと同じレール幅ではなく、EUと同じレール幅に一新しようということになったのです。

 

ロシアはかなり長い海岸線を有していますが、冬場は海が凍ってしまい港を使うことができません。そのため不凍港を目指して南下するには鉄道が不可欠となります。ウクライナ側としても、ロシアと同じレール幅では今後何をしてくるか分からないので、安全保障上良くないというふうに結論したのでしょう。そのため、レール幅を1435mmにして、新幹線のシステムの導入を検討しているとのことです。

 

このように、安全保障上においても、貿易においてもレールの幅が持つ意味合いはかなり大きなものなのです。

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