貴殿のふとした疑問に答えるブログ

ふと疑問に思う「なぜ?」「どうして?」「〇〇って何?」に答えるブログです。

なぜお金を扱う場所を「銀行」ではなく「金行」と呼ばなかったのか?

私たちは普段から銀行のお世話になっています。銀行に預金をしたり、資金を借りることもあります。為替取引を行なう方もいるでしょう。毎日のように利用するわけではありませんが、生活に欠かせないものとなっています。

 

でもよく考えると、なぜ「銀」なのでしょうか。お金を扱うところであれば「金行」でもよかったはずです。今回はなぜ金行ではなく銀行になったのか考えたいと思います。

 

銀行の歴史はとても古く、世界最初の銀行は紀元前3000年頃とされています。現在のイラク南部にバビロニア王朝があり、バビロンという古代都市としても有名ですね。バビロニアの神殿では、人々の財産や貴重品を保管したり、穀物や家畜を貸し付けていたそうで、これが銀行の始まりだと言われています。

 

銀行のなかでも、国の金融の役割の中心を果たす銀行のことを「中央銀行」と言いますが、現存する世界最古の中央銀行はスウェーデン国立銀行です。

 

話を戻します。英語の「BANK」は、12世紀のイタリアの両替商が使っていた「長机(BANCO)」から来ている言葉でした。彼らは緑色の布で覆われた机の上でお金の取引を行なっていたからです。

 

日本の銀行は明治維新後の1873年に誕生した第一国立銀行(現在のみずほ銀行)で、渋沢栄一によって作られた日本最古の銀行です。明治以降日本でも銀行が作られていきましたが、最初に名前を付けるさい、英語の「バンク(BANK)」をどう訳せばいいのか頭を抱えてしまいました。

 

「BANK」を日本語に訳すのに候補に挙がったのは、「金行」「金舗」「金司」などでした。お金を扱うため「金」という字が入っていたんですね。ちなみに「行」や「舗」には店や商店という意味があり、「司」は管理するという意味があります。もし現代名前を訳すのであればこれらが採用されていたかもしれません。

 

しかし、訳されたものは「銀行」でした。なぜなら、当時の東アジアでは金ではなく銀のほうが流通量は多く、共通の価値として通用していました。また、中国も当時は銀本位制だったため、銀の方が取引しやすかったのです。おまけに、「金行」よりも「銀行」のほうが発音に重みがあってしっくりときたため、「BANK」が銀行と訳されるようになったのでした。さまざまな条件があっての「銀行」だったということです。

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